ChatGPT心理カウンセラープロンプト|安全な質問設計と注意点
心理カウンセラーがChatGPTを使うなら、相談者への回答を代行させるのではなく、面談前の論点整理、質問候補、説明文の下書き、匿名化した記録の構造化といった「支援者の準備」に限定するのが基本です。
ChatGPTは自然な文章を作れますが、相談者の表情、沈黙、声の変化、生活背景を踏まえた臨床的判断はできません。診断、治療方針、自傷他害の危険性評価、緊急対応、服薬助言を任せる道具ではありません。
一方で、用途と入力範囲を絞れば、質問が誘導的でないか、説明が難しすぎないか、面談記録で事実と解釈が混ざっていないかを点検する補助になります。重要なのは「便利なプロンプト」より先に、使ってよい場面と止める場面を決めることです。
この記事では、心理カウンセラーがChatGPTを補助的に使うための安全設計、実践プロンプト、相談内容の整理、記録補助、失敗の修正方法を解説します。相談者がAIへ悩みを直接相談する方法ではなく、支援者側の業務設計が中心です。
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目次
- 1 最初に結論|AIは支援者の準備を補助し、相談者を判断しない
- 2 心理カウンセラーがChatGPTを使いやすい7業務
- 3 AIへ任せない8つの判断
- 4 安全に導入する8つの手順
- 5 心理カウンセラー向け実践プロンプト7選
- 6 出力を採用する前の6項目チェック
- 7 面談記録と個人情報を安全に扱う
- 8 想定例|職場ストレス相談の面談準備
- 9 相談内容を入力せずに使う方法
- 10 出力を採用・修正・破棄する判断基準
- 11 一人事業と組織で異なる運用
- 12 導入前セルフチェック
- 13 境界で迷いやすい5場面
- 14 面談準備テンプレート
- 15 よくある失敗10例と直し方
- 16 筆者の実務視点
- 17 ChatGPTと心理カウンセリングに関するFAQ
- 18 まとめ:安全設計がプロンプトより先
- 19 参考情報
- 20 関連記事
最初に結論|AIは支援者の準備を補助し、相談者を判断しない
心理支援でのChatGPT活用は、次の三層に分けると判断しやすくなります。緑は定型的な準備、黄は匿名化と人の精査が必要な補助、赤はAIへ任せない判断です。
| 区分 | 業務例 | 運用 |
|---|---|---|
| 緑 | 一般向け案内、質問表現の平易化、研修用の架空例 | 事実確認後に利用 |
| 黄 | 匿名化した論点整理、記録の見出し化、質問候補 | 同意・規程・人の精査が必要 |
| 赤 | 診断、危険性評価、治療、服薬、緊急対応 | AIへ任せない |
「プロンプトへ注意書きを入れたから安全」ではありません。入力前の匿名化、利用サービスの設定、所属先の規程、相談者への説明、出力後の専門的確認を一つの運用として設計します。
ChatGPTをカウンセラー役にしない
「あなたは優秀な心理カウンセラーです」という役割指定は、回答の確かさを保証しません。むしろ、もっともらしい断定や共感表現を信頼しすぎる原因になります。役割ではなく、作業、入力範囲、禁止事項、出力形式を指定してください。
緊急時は通常業務と別の導線にする
生命の危険、自傷他害のおそれ、虐待、DV、急激な状態悪化などが疑われる場合、プロンプトを工夫する段階ではありません。所属機関の緊急手順、地域の救急・公的相談窓口、必要な専門職への連携を優先します。日本で差し迫った危険がある場合は119番など、状況に応じた緊急連絡を使います。
心理カウンセラーがChatGPTを使いやすい7業務
1.初回面談の説明文を平易にする
守秘の範囲、面談時間、キャンセル、緊急時の扱いなど、自分で決めた内容を読みやすく整えます。制度や契約内容そのものはAIに決めさせません。
2.非誘導的な質問候補を出す
「上司が原因なのですね」ではなく「どの場面が負担になっていますか」のように、結論を埋め込まない表現へ直します。候補から実際に使う質問は、文脈を知る支援者が選びます。
3.面談前の仮説を広げる
一つの説明へ固定せず、未確認情報と別の可能性を列挙させます。目的は診断ではなく、早合点を防ぐことです。
4.心理教育資料の構成を作る
ストレス、睡眠、コミュニケーションなどの一般情報を、対象者の理解度に合わせて構成します。医学的説明は公的・専門的情報源と照合し、個別助言へ変えません。
5.匿名化した記録を構造化する
本人が述べた事実、本人の言葉、支援者の観察、仮説、合意事項、次回確認を分けます。原文の個人情報をそのまま貼り付けないことが前提です。
6.スーパービジョン用の論点を整理する
自分が迷っている点、倫理的懸念、見落としの可能性を言語化します。ChatGPTはスーパーバイザーの代わりではなく、人へ相談する準備に使います。
7.研修用の架空ケースを作る
実在相談者と結び付かない想定例を作り、質問練習や記録練習に利用します。「架空」と明示し、実在事例のような成果や経過を創作しません。
AIへ任せない8つの判断
- 精神疾患や発達特性などの診断
- 自殺・自傷・他害の危険性評価
- 緊急性と救急受診の要否
- 治療法や服薬の選択・変更
- 虐待、DV、犯罪等への個別対応判断
- 相談継続、終結、他機関紹介の最終判断
- 相談者の性格・能力・信頼性の評価
- 記録の開示、共有、保存に関する責任判断
AIがこれらについて答えを返しても、正しい判断に変わるわけではありません。専門資格、法令、倫理規程、所属先の手順、スーパービジョンに従い、人が責任を持ちます。
安全に導入する8つの手順
1.対象業務を一つだけ選ぶ
最初は一般的な案内文の校正など、相談者固有情報を使わない業務から始めます。複数業務を同時に自動化すると、どこで問題が起きたか分からなくなります。
2.利用禁止業務を書く
診断、緊急判断、治療提案、本人への自動返信などを禁止一覧にします。忙しい時でも迷わないよう、口頭ではなく文書化します。
3.入力禁止情報を決める
氏名、住所、勤務先、連絡先、固有の出来事、他者情報などを洗い出します。匿名化しても再特定できる組み合わせがないか確認します。
4.同意と説明を整える
AI利用を伴う場合は、利用目的、範囲、入力する情報、保存、拒否した場合の扱いを説明します。同意取得の要否と方法は、法令、契約、所属先の規程へ合わせます。
5.プロンプトを標準化する
目的、禁止事項、推測しないこと、未確認を明示すること、出力形式をテンプレート化します。担当者ごとのばらつきを減らします。
6.出力の検査項目を作る
事実誤認、断定、誘導、偏見、医療助言、相談者の責任を強調する表現、機密情報の再掲を確認します。
7.人が採用可否を決める
出力は候補です。面談で使う質問、記録、資料は資格と役割を持つ担当者が原資料と照合し、必要なら破棄します。
8.例外と事故対応を決める
誤入力、誤送信、不適切出力、相談者からの異議があった時の報告先と対応を決めます。緊急時はAI利用を中止し、人の手順へ切り替えます。
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心理カウンセラー向け実践プロンプト7選
プロンプト1|質問の誘導性を点検する
次の面談質問を点検してください。
目的:相談者が自分の状況を整理するための質問候補を作る
点検:誘導、決め付け、二重質問、専門用語、責める表現
出力:問題箇所/理由/中立的な修正候補
診断、危険性評価、治療提案はしないでください。
[質問一覧]
プロンプト2|初回説明を分かりやすくする
次の初回面談説明を、50代の初利用者にも分かる文章へ直してください。
契約内容や意味は変更せず、不明点は「要確認」と示してください。
守秘、例外、時間、料金、キャンセル、緊急時の連絡先を見出しで分けてください。
[確定済み説明文]
プロンプト3|匿名情報から未確認事項を分ける
次の匿名化済みメモを、本人が述べた事実/本人の意味付け/支援者の観察/支援者の仮説/未確認に分類してください。
情報を補完せず、矛盾は矛盾のまま示してください。
診断名、性格評価、緊急性の判定は出力しないでください。
[匿名メモ]
プロンプト4|面談後の確認事項を作る
次の匿名化済み記録から、次回に本人へ確認する候補を5件作ってください。
各候補に「記録中の根拠」と「断定を避けた質問」を付けてください。
助言や解決策を先回りせず、最終選択は支援者が行います。
[記録]
プロンプト5|心理教育資料の骨子を作る
[テーマ]について一般向け心理教育資料の骨子を作ってください。
対象:[ ] 目的:[ ] 読了後の行動:[ ]
一般情報と個別判断を明確に分け、診断・治療・服薬助言は含めないでください。
確認すべき公的・専門的情報源の種類も示してください。
プロンプト6|自分の見立ての偏りを点検する
次は相談者を特定できない形にした支援者の仮説です。
仮説を支持する情報、反する情報、不足情報、別の可能性、中立的な確認質問に分けてください。
どの仮説も確定せず、診断や人物評価をしないでください。
[仮説]
プロンプト7|人へ相談する論点をまとめる
次の匿名化済み状況を、スーパーバイザーへ相談するための論点メモにしてください。
事実、判断に迷う点、倫理的懸念、既に確認した規程、質問したいことを分けてください。
AI自身は結論を出さず、緊急性が疑われる記述があれば「AI利用を止め、人の手順を確認」と表示してください。
[状況]
出力を採用する前の6項目チェック
| 確認項目 | 問い | 問題がある時 |
|---|---|---|
| 根拠 | 原情報に書かれているか | 補完部分を削除 |
| 断定 | 可能性を事実扱いしていないか | 未確認へ戻す |
| 誘導 | 望む回答を埋め込んでいないか | 開かれた質問へ修正 |
| 専門範囲 | 資格・契約範囲を越えていないか | 使用せず人へ確認 |
| 安全 | 緊急判断を代替していないか | AIを止め緊急手順へ |
| 情報 | 個人を特定できないか | 削除・匿名化を再実施 |
面談記録と個人情報を安全に扱う
相談内容は機密性が高く、名前を消すだけでは十分とは限りません。年代、職種、地域、家族構成、珍しい出来事を組み合わせると本人が推測されることがあります。
入力前の匿名化
- 固有名詞を一般名詞へ置き換える
- 正確な日付や場所を必要な粒度へ下げる
- 目的に不要な家族・勤務先情報を削除する
- 引用が検索可能な特徴的表現なら要約する
- 一件分の情報を必要以上にまとめて入れない
記録では事実と仮説を分ける
| 区分 | 書き方 | 避ける書き方 |
|---|---|---|
| 本人の発言 | 本人が「眠れない」と述べた | 不眠症である |
| 観察 | 返答まで沈黙があった | 話したくない様子 |
| 仮説 | 負担との関連は未確認 | 仕事が原因 |
| 合意 | 次回、睡眠状況を本人と確認 | 睡眠を改善させる |
ChatGPTのData ControlsやTemporary Chatにも保存・保持に関する仕様がありますが、設定だけで機密情報の入力が自動的に適切になるわけではありません。利用時点の公式仕様、契約、法令、倫理規程、所属先のセキュリティ方針を確認してください。
想定例|職場ストレス相談の面談準備
以下は実在事例ではなく、情報の分け方を示す想定例です。匿名メモに「会議前に動悸がする。上司の言い方が怖い。退職すべきか迷う」とあるとします。
| AIへ頼める補助 | 人が確認すること | AIへ任せないこと |
|---|---|---|
| 本人の発言を論点別に配置 | 動悸の状況と現在の安全 | 疾患の診断 |
| 中立的な確認質問候補 | 上司との具体的な出来事 | 上司の人格評価 |
| 選択肢を急がない質問 | 本人が望む支援 | 退職の決定 |
支援者は、身体症状や危険性を通常の質問作成だけで扱わず、必要に応じて医療・緊急対応など適切な人の手順へつなぎます。AIが「ストレスが原因でしょう」と答えても採用しません。
相談内容を入力せずに使う方法
心理支援でChatGPTを使うために、相談者の情報を必ず入力する必要はありません。最初は「相談者固有情報ゼロ」で使える業務を選ぶと、個人情報リスクを抑えながら操作と検査に慣れられます。
| 作業 | 入力するもの | 入力しないもの |
|---|---|---|
| 初回案内 | 確定済みの規約・一般説明 | 相談者名・相談内容 |
| 質問の練習 | 完全な架空ケース | 実在事例の改変版 |
| 記録様式 | 必要な見出し | 過去の面談記録 |
| 心理教育資料 | 一般テーマ・対象読者 | 個別症状・治療歴 |
| 振り返り表 | 自分の確認観点 | 相談者の詳細情報 |
「架空ケース」として実在相談者の年齢や出来事を少し変えただけでは、再特定される可能性があります。研修用なら、複数の特徴を混ぜるのではなく、学習したい論点から新しく一般的な設定を作り、実在情報を持ち込まない方が明確です。
出力を採用・修正・破棄する判断基準
ChatGPTの文章をすべて修正して使おうとすると、不適切な前提が残ることがあります。出力は次の三つに分け、破棄を通常の選択肢にします。
| 判断 | 条件 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 採用候補 | 原情報と一致し、専門範囲内 | 人が最終校正 |
| 修正候補 | 目的は合うが表現・構成に問題 | 問題箇所だけ直して再検査 |
| 破棄 | 診断、危険判断、偏見、架空情報を含む | 利用せず人の手順へ |
修正しても使わない方がよい出力
- 相談者の意図や性格を断定している
- 危険性が低い・高いとAIが判定している
- 支援者が確認していない症状や経過を補っている
- 治療・受診・服薬の個別指示を含む
- 相談者が悪い、努力不足だと責任を帰属している
- 本人の同意がない情報共有を前提にしている
危険な一文だけを削って残りを使うと、文章全体の前提に診断的な見方が残る場合があります。出力過程が不適切なら、最初から作り直すかAIを使わない判断が安全です。
一人事業と組織で異なる運用
一人で活動する場合
利用判断と検査が同じ人に集中します。最低でも、禁止業務、入力禁止情報、利用する機能、見直し日、事故時の相談先を一枚にまとめます。自分だけで判断できない倫理・安全上の問題を相談できる専門家やスーパーバイザーも確保します。
組織で使う場合
個人アカウントの自由利用を前提にせず、承認されたサービス、アクセス権、入力区分、ログ、教育、事故報告をそろえます。「匿名なら自由」とせず、匿名化の基準と再確認者を決めます。
| 管理項目 | 決める内容 | 確認の証拠 |
|---|---|---|
| 利用者 | 誰がどの業務で使うか | 権限一覧 |
| 入力 | 禁止情報と匿名化基準 | チェック表 |
| 出力 | 採否を誰が確定するか | 確認記録 |
| 教育 | 安全・倫理・操作の研修 | 受講記録 |
| 事故 | 停止、報告、本人対応 | 対応手順 |
| 見直し | 仕様・規程の確認時期 | 改訂履歴 |
導入前セルフチェック
- ChatGPTを使う目的を一文で説明できる
- AIを使わなくても同じ支援を受けられる代替がある
- 診断・治療・緊急判断を対象外にしている
- 入力禁止情報と匿名化の担当が決まっている
- 相談者への説明と同意の要否を確認した
- 出力を原情報と照合できる担当者がいる
- 不適切出力を破棄する基準がある
- 緊急時にAIを止める明確な条件がある
- 誤入力や情報事故の報告先がある
- 最新仕様と規程を見直す日を決めている
境界で迷いやすい5場面
相談者が「AIで分析してほしい」と希望する
本人の希望があっても、診断、危険性評価、性格判定が適切になるわけではありません。何を期待しているかを確認し、一般的な整理で満たせるのか、専門的評価が必要なのかを分けます。実施しない内容は理由と代替を説明します。
短い記録だから匿名化せず入力したい
短文でも、固有名詞や特徴的な出来事があれば識別できます。文字数ではなく、目的、内容、組み合わせで判断します。数行の文章でも、不要な情報は削除します。
AIが緊急性を示す警告を出した
警告を診断として採用するのではなく、人の安全確認を開始するきっかけとして扱います。反対に警告が出なかったから安全とも判断しません。所属先の手順と専門家判断を優先します。
心理教育の一般資料へ個別の助言を加えたい
一般的なセルフケア情報と、特定の相談者への治療・行動指示を分けます。個別化するほど、専門的判断、本人の状態確認、同意が必要です。出典と更新日も確認します。
相談者がAIの回答を持参した
正誤を即座に論破せず、その回答をどう受け止め、どの行動を考えたかを聞きます。医療・安全に関する誤情報がある場合は、信頼できる情報源と専門家につなぎます。AI利用そのものを責めると、重要な情報を話さなくなる可能性があります。
面談準備テンプレート
| 欄 | 記入内容 | 注意 |
|---|---|---|
| 今回の目的 | 支援者が準備する作業 | 相談者の結論を書かない |
| 確定情報 | 本人が述べた事実 | 推測と分ける |
| 未確認 | 本人に聞く必要がある点 | AIで補完しない |
| 質問候補 | 開かれた質問を3〜5件 | すべて聞く台本にしない |
| 安全・境界 | 人が確認する事項 | 緊急時はAIを止める |
| 利用記録 | AIを使った範囲と修正 | 機密を増やさない |
このテンプレートは正式な心理記録の様式を置き換えるものではありません。資格、法令、所属機関、サービス内容に合う記録様式がある場合は、それを優先してください。
よくある失敗10例と直し方
1.相談記録を丸ごと貼る
原因:便利さを優先し、目的と個人情報を分けていません。改善:入力しない選択を基本に、必要時も同意・規程を確認して最小限に匿名化します。
2.AIの要約を正式記録にする
原因:省略や補完を確認していません。改善:原記録と一文ずつ照合し、担当者が確定します。
3.診断名を候補として出させる
原因:論点整理と診断を混同しています。改善:事実、本人の意味、未確認事項へ分けます。
4.緊急性を点数で判定させる
原因:AIをリスク評価者にしています。改善:AI利用を止め、所属先の緊急手順と専門家判断へ切り替えます。
5.丁寧な文章だから正しいと思う
原因:流暢さと正確さを混同しています。改善:原資料、公的情報、専門知識で確認します。
6.本人へAI文章を自動送信する
原因:関係性と状態を見ずに送っています。改善:支援者が読み、現在の文脈に合わせます。
7.同意拒否でサービスを不利にする
原因:代替手段がありません。改善:AIを使わない実施方法と扱いを事前に決めます。
8.ChatGPTをスーパービジョン代わりにする
原因:責任ある人の助言と文章生成を同一視しています。改善:論点整理だけに使い、有資格者・責任者へ相談します。
9.一度作ったプロンプトを放置する
原因:サービス仕様や規程変更を確認していません。改善:定期的に利用範囲、設定、出力例を見直します。
10.AI利用履歴を残さない
原因:どの出力をどう修正したか追えません。改善:機密性を守りつつ、利用目的、担当、確認、採否の記録方法を決めます。
筆者の実務視点
筆者の実務判断では、心理支援で最初に作るべきものは万能プロンプトではなく、「AIを止める条件」です。相談者の安全や権利に影響する場面で、文章生成を続けること自体が誤りになるからです。
50代以降の専門職は、豊富な経験を言語化してAIへ渡せます。ただし経験則をそのまま断定へ変えず、「何を観察し、何をまだ知らず、本人にどう確認するか」という手順に変換する方が、再現性と安全性を両立できます。
AIへ任せるのは候補作成と形式整理まで。相談者の意味、沈黙、安全、同意、支援関係、専門家連携は人が扱います。この線引きができて初めて、ChatGPTは専門性を薄める道具ではなく、準備を丁寧にする補助になります。
ChatGPTと心理カウンセリングに関するFAQ
Q1. ChatGPTを心理カウンセラーとして使えますか
支援者の代替としては使えません。一般情報や文章整理はできますが、診断、治療、危険性評価、継続的な支援関係は担えません。
Q2. 相談者の名前を消せば入力できますか
名前以外の組み合わせで再特定される場合があります。目的、同意、規程、利用条件を確認し、必要最小限へ匿名化してください。入力しない判断も重要です。
Q3. 面談の質問を全部作らせてもよいですか
候補作成はできますが、実際の質問は支援者が選びます。質問リストを消化するより、本人の言葉と反応に応じることが優先です。
Q4. AIの要約で記録時間を減らせますか
要約は補助になりますが、重要情報の省略や事実でない補完があり得ます。原資料と照合し、正式記録は担当者が確定します。
Q5. 緊急相談への返信文を作れますか
緊急性が疑われる時は文章作成を続けず、所属先の手順と人の判断へ切り替えます。差し迫った危険では救急等の緊急連絡を優先します。
Q6. 無料版と有料版のどちらなら安全ですか
料金だけでは判断できません。契約条件、データ利用、保持、管理機能、組織規程、入力内容を総合して決めます。最新の公式情報を確認してください。
Q7. 相談者へAI利用を伝えるべきですか
利用内容、契約、法令、倫理規程によります。少なくとも利用目的、範囲、情報の扱い、拒否時の代替を整理し、必要な説明・同意を行います。
Q8. AIを使わない方がよい場面はありますか
緊急対応、診断・治療判断、極めて機密性の高い情報、同意や規程が整わない場合、出力を検証できない領域では使いません。
まとめ:安全設計がプロンプトより先
心理カウンセラーがChatGPTを使う時は、面談前の準備、質問表現、一般向け資料、匿名記録の構造化へ用途を限定します。診断、治療、服薬、危険性評価、緊急対応、相談者の意思決定は任せません。
対象業務、入力禁止情報、同意、検査項目、停止条件、事故対応を先に決めてください。プロンプトには、推測しない、未確認を示す、専門判断をしないという制約を入れ、出力は必ず人が原資料と照合します。
ChatGPTの価値はカウンセラーの代わりになることではありません。支援者が自分の仮説を点検し、相談者へ向き合う準備を整えることにあります。
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参考情報
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」
- 厚生労働省「電話相談」
- OpenAI Help Center「Data Controls FAQ」
- OpenAI Help Center「Temporary Chat FAQ」
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