マーケティング心理学とは?今すぐ使える9つの原則と実践テクニック
あなたは、「どうすれば顧客がスムーズに商品を購入してくれるのか、その方法がわからない」といった悩みを抱えていませんか?
そんなあなたにおすすめしたい方法が、本記事でご紹介する「マーケティング心理学」です。
対面でのセールスはもちろんのこと、ネット上でのセールスを成功させるためには、顧客が商品を購入したくなる心理メカニズムを理解しておく必要があります。
顧客が購買行動を起こす心理と原則が理解できれば、あなたはたくさんの顧客から無理なく自然に商品やサービスを購入してもらうことができるようになります。
実は、科学的に効果が証明された行動心理学を基礎としたマーケティング心理学を実践すると、同じ商品やサービスでも、瞬く間に売上を増加させることが可能になるのです。
そこで本記事では、あなたがビジネスの現場で今すぐ活用できる9つの原則と具体的な事例をご紹介します。
こちらは、対面セールスをおこなう営業職の方はもちろんのこと、インターネット上で商品やサービスを販売しているすべての方に活用いただける内容となっています。
ぜひ、こちらでご紹介するマーケティング心理学の方法論を参考にしてみてください。
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マーケティング心理学とは?
本記事のテーマは、「マーケティング心理学」です。
ネットマーケティングを実践していく過程では、様々な取り組みをおこなう必要があります。
たとえば、ホームページや商品を案内するセールスページ、そして見込み顧客を集めるオプトインページを作ります。
そして、ブログやFacebookを更新し、広告を出稿してオプトインページに見込み顧客を集めます。
その後、メールを通してセールスページにトラフィックを集め、商品を販売していきます。
主な活動だけでも、以上のようなものが挙げられます。
マーケティングを成功させるためには、これらの活動を効率的におこなえばよいだけに思われるかもしれません。
しかし、実は、これらすべての活動を成功させるために重要な共通項が存在することをご存じでしょうか。
それが、マーケティング心理学です。
実は、マーケティングはもちろんのこと、セールスというものは、顧客である消費者の心理を理解しておかなければ成功できません。
たとえば、あなたが何気なく生活している中でも、ひとつの行動を意思決定するためには様々な心理が働いています。
事例として以下の質問を挙げてみましたので、ぜひ少し考えてみてください。
- あなたは、日常的に多くのメールが届く中で、なぜ「特定のメールマガジン」を開封して読もうと思ったのでしょうか
- あなたは、多くのFacebook広告の中で、なぜ「特定のFacebook広告」をクリックしようと思ったのでしょうか
- あなたは、多くの商品が存在する中で、なぜ「特定の商品」を買おうと決断したのでしょうか
- あなたは、なぜ単価の高い商品でも安く感じてしまうことがあるのでしょうか
- あなたは、なぜ特定の商品を「今すぐ手に入れなければならない」と思うことがあるのでしょうか
- あなたは、なぜ一度も会ったことがないにも関わらず、ある人物は信用に足る人物だと思うことがあるのでしょうか
実は、これらの行動には、すべてマーケティング心理学が関係しています。
「マーケティング心理学」とは、一言で言えば、「消費者を購買行動に促す心理メカニズム」と表現できます。
長年にわたる学術的研究の結果、人間には証明された心理パターンが存在することが解明されています。
その心理パターンを知っておくことは、あなたのビジネス上の成功を加速させてくれるでしょう。
どれだけデザインが綺麗なホームページやセールスページを作っても、消費者心理を踏まえたメッセージを発信できないと、販売上の効果は激減してしまいます。
逆に言えば、この「消費者を行動させる心理メカニズム」のポイントを押さえたメッセージが発信できれば、あなたはより効果的に販売できるようになるのです。
マーケティング心理学は、あなたが様々なウェブサイトやソーシャルメディアでメッセージを発信する際に高い効果を生み出しますが、実は対面のセールスでも大いに役立ちます。
これから、このマーケティング心理学を学ぶために、9つの原則を解説しながら具体的な活用事例をご紹介していきます。
どれもすぐに活用できるノウハウですので、ぜひ、あなたのビジネスを成功させるうえで活用してみてください。
マーケティング心理学 9つの原則
こちらでは、9項目に渡って、マーケティング心理学の原則をお伝えしていきます。
また、本記事では、できるだけ早めにあなたのビジネスで9つの原則を実践できるように、ワークセッション形式の質問もご用意しました。
この質問に答えるだけで、短時間で簡単に、9つの原則をご自身のビジネスに取り入れることができるようになっています。
ぜひ、あなた自身のマーケティングに応用できる部分があるとしたらそれは何か、という視点でご覧になってみてください。
1. 返報性の法則
最初にお伝えするのが、こちらの「返報性の法則」です。
「返報性の法則」とは、「もし誰かが自分に何か良い事をしてくれたら、その相手にお返しをしなければならない」と無意識に考えてしまう人間の心理パターンのことです。
例を挙げてみましょう。
うまく商品を販売している企業の中には、必ずと言ってよいほど、最初に無料で何かが提供されていることがあります。
こちらはネットとリアルの区別なく実践されていることです。
たとえば、ネット上でデジタルコンテンツを販売している企業なら、実際に有料商品を販売する前に無料動画やPDFレポートをプレゼントしている場合があります。
初めてホームページやブログにアクセスした際に、このような無料提供の機会が提供されることが一般的です。
いわゆるプロダクトローンチでも、必ず販売前に一定量のコンテンツを無料で視聴させていきます。
デジタル商品でなく物販のような有形の商品の場合でも、まず試供品を無料で提供する場合もあります。
また、対面販売の場合でも、たとえばデパートの食品売り場での試食などは無料提供の典型的な事例と言えます。
これらは、商品の品質を事前に試してもらうという意味合いもありますが、実は「返報性の法則」に則ったものであると言われています。
この原則については、世界的に著名な社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニ博士の著書、『影響力の武器』で詳細が説明されていますので、ぜひお読みになってみてください。
出典:『影響力の武器』ロバート・B・チャルディーニ (著)
チャルディーニ博士によれば、ある興味深いデータが伝えられています。
欧米ではレストランでチップの習慣がありますが、チェックの際にウェイターが請求書だけ持参すると、単純にそのサービスに見合ったチップのみが支払われるそうです。
しかし、請求書とともにミント(ミント味のガムなど)を持参した場合、わずか1つのミントだけでチップの金額は3.3%も上昇したそうです。
さらに2つのミントをもらった場合、チップの金額は、およそ20%も上昇したそうです。
また、米国のあるスーパーでは、チーズを買い物客の前に出して顧客に自分でスライスしてもらい、それを無料試供品として食べてもらうというやり方で、数時間のうちに450キロものチーズを売ってしまったそうです。
マーケティングでは、すべての活動の基礎にこの心理パターンを実践することが、特に新規顧客獲得を成功させるうえで有効とされています。
私たちがこの「返報性の法則」を実践する際に、もっとも簡単にできることが、見込み顧客にとって価値の高い無料オファーを提供することです。
たとえば、こちらはウェブサイトの売買をおこなうサイトを展開するFE International社のサイトですが、「オンラインビジネスを購入するためのフリーガイド」として、83ページものPDFレポートが無料提供されるようになっています。
これはごく一例ですが、デジタルコンテンツの場合はPDFレポートのほかに、動画や音声などのコンテンツも無料で提供できるでしょう。
これらをきちんと学んでもらえれば、事前にこちらの考えを理解してもらうことができる教育的な意味もあります。
なお、実際に商品サンプルを送る方法もありますが、これらは郵送コストやサンプルコストがかかってしまいます。
そのため、特にネットマーケティングにおいて、顧客に自分(自社)を受け入れてもらう心理的下地を作るためには、「無料のデジタルコンテンツ」を提供するのが望ましいと考えられます。
このような無料オファーは1つでもよいですが、様々なバラエティを用意して、機会あるごとに提供できるとさらに効果が積み重なると言われています。
【実践ワークセッション】
1. 「返報性の法則」を実践するために、あなたが提供できる無料オファーにはどのようなものがありますか?
2. また、それらを提供する機会を増やすためには、どのような場所に無料オファーを設置できますか?
2. 社会的証明の法則
「返報性の法則」の次に大切な法則が、「社会的証明の法則」です。
人が購買決定をするとき、無意識に参考にしている基準のひとつが、こちらの「社会的証明」と言われるものです。
ある研究によれば、70%もの人々が、商品購入の際にカスタマーレビューを参考にするそうです。
また、そのカスタマーレビューは、販売者による商品解説よりも12倍も信頼されているそうです。
前述したチャルディーニ博士の言葉によれば、社会的証明とは、「私たちは他人が何を正しいと考えているかにもとづいて物事が正しいかどうかを判断する」(出典:『影響力の武器』P.189)原理だと言えます。
これは簡単に言えば、「私たちは販売者自身の説明よりも、他人(購入者や推薦者)の声をより信用する」ことを意味します。
社会的証明の原理によれば、「どんな考えでも、それを正しいと思う人が多ければ多いほど、人はその考えを正しいと見ることになる」(出典:『影響力の武器』P.208)ということになります。
では、これらをオンラインビジネスで実践するためには、どのような方法が考えられるでしょうか。
テスティモニアル(顧客の声)やカスタマーレビュー
「販売者が語ると、それはマーケティングになり、顧客が語ると、それは社会的証明になる」という言葉があります。
販売者がたくさん説明するよりも、実際に顧客が評価したほうが、商品への信頼性が増します。
そのため、あなたのホームページやセールスページでは、必ずテスティモニアル(顧客の声)やカスタマーレビューを掲載するようにしましょう。
こちらの説明は、信憑性や説得力を高めるためにも、できるだけ実名で、できるかぎり多くの顧客の声が紹介できるようにするとよいでしょう。
こちらは米国トップマーケターのニール・パテル(Neil Patel)のサイトですが、コンサルティングサービスを案内するページに顧客の声として、投資教育家として著名なティモシー・サイクス(Timothy Sykes)の証言があります。
こちらでは、「ニールは私のビジネスを年間60万ドル(6,000万円)から1,500万ドル(15億円)に成長させてくれた」という証言が掲載されています。
出典:Neil Patel
インフルエンサーからの推薦
ある業界において知名度が高く影響力がある人物を、「インフルエンサー」と呼びます。
そのような人物は、あなたの顧客から深く知られており、尊敬されているような人物であるはずです。
そのため、インフルエンサーから推薦の声をもらうことができれば、最高の信用証明になります。
なお、実際にインフルエンサーから推薦の声を書いてもらったり、ビデオで撮影させてもらうことができれば理想的ですが、著名なインフルエンサーほど忙しく、対応してもらえない場合があります。
そのような場合は、その商品のユーザーであることだけでもアピールさせてもらえれば、推薦をもらうことに近い効果が期待できます。
たとえば、こちらは米国のマーケターであるマイク・フィルセイムが開発したWebinar Jamというウェビナーシステムのセールスページにあるインフルエンサーの紹介欄です。
出典:Webinar Jam
ブレンドン・バーチャード(Brendon Burchard)、ジェフ・ウォーカー(Jeff Walker)、フランク・カーン(Frank Kern)やエベン・ペーガン(Eben Pagan)を始めとする米国ネットマーケティング界の著名人たちが顔を並べています。
これだけでも、このサービスが信頼に値する、ということを証明できている好例となります。
メディアロゴや著書の紹介
もしもあなたがメディアに取材されたり、講演に登壇したり、著書がある場合は、これらをオプトインページのプロフィール欄やブログのサイドバーなどに掲載するとよいでしょう。
たとえば、こちらは弊社の電子書籍スクール企画のオプトインページになりますが、私自身の「出版実績」「講演・メディア掲載実績(当企画パートナーの実績含む)」を紹介しています。
【実践ワークセッション】
1. あなたの顧客の中で、あなたの商品やサービスを通して素晴らしい成果を出した方は誰ですか?また、その方に感想をもらえないか、依頼してみましょう。
2. あなたの業界において、あなたの顧客の誰もが知っているような影響力ある人物を5人、挙げてみてください。そのうちの何名かに、あなたの商品を推薦してもらえないか依頼してみましょう。
3. あなたのこれまでの活動の中で、メディア出演や出版、有名企業からの依頼など、実績として紹介できるものはありますか?もし現在のプロフィールに追加できるものがあれば、追加しておきましょう。
3. アンカリング効果
「アンカリング効果」とは、人は最初に提示され、知覚した情報の影響を受けやすいという心理的特性を表したものです。
わかりやすい事例を挙げてみましょう。
たとえば、あなたがよく利用しているオンラインアパレルショップで、ジャケットの価格は常に49.95ドルで提示されているものだとしましょう。
その場合、あなたは「あのショップのジャケットは49.95ドルである」と認識しています。
その状態で、あるときにセールが開催されていて35ドルで売られていたとしましょう。
そうすると、15ドルも安価になっていることをとても安く感じ、つい衝動的に購入してしまう可能性が生まれます。
出典:H&M
また、別の例では、最初に商品の販売価格が30万円と提示されると、その後、徐々に15万円、9万円と値下げされた場合、最後に提示された9万円がとても安く感じます。
販売価格30万円
↓
30万円 ⇒ 15万円 ⇒ 9万円(最終価格)
なお、より納得感を出すためには、最初の価格提示の際に、単に30万円という金額を伝えるだけでなく、「なぜこの商品は30万円になるのか」という合理的な価値説明をおこなうことです。
その場合、「この商品には●●と●●という価値があるため、その価値のすべてを価格換算すると、本来は30万円になる」ということを説明してから安価な価格を提示することが重要です。
すると、30万円という価格に合理的な価値説明が加わるため、そのあとに提示される価格がよりお得に感じられるようになります。
ほかには、「他社では●円ですが、弊社では●円になります」というように、同業他社が提示している商品価格を提示することも「アンカリング効果」を生み出します。
また、違う商品でも、「同じようなサービスを受けるために●●を利用した場合は●円ですが、弊社の商品を利用された場合は●円になります」というように、同じような商品の価格を比較対象として提示する方法も「アンカリング効果」を生み出します。
以上のように、これらすべてに共通する心理法則が、「人は最初に提示される価格の印象を強く受ける」ということです。
これは、セールスされる側からすると、販売者が意図的に提示していることがわかっていても、つい影響を強く受けてしまう心理的特性だと言われています。
そのため、あなたがセールスページやセールス動画で価格を説明する際には、いきなり最終価格を発表するのではなく、定価より高い価格から提示することが効果的です。
最近はウェビナーを活用する方も増えていますので、プレゼンの中でこちらの手法を実践してみると効果が生まれやすいでしょう。
【実践ワークセッション】
1. あなたの商品に「アンカリング効果」が適用できるとしたら、最初に提示する販売価格をいくらに設定しますか?また、その価格価値について、どのように説明しますか?
2. アンカリングをおこなったあとに、最後に提示する販売価格をいくらに設定しますか?また、価格を下げる理由をどのように説明しますか?
4. おとり効果
価格に関する見せ方では、「アンカリング効果」のほかに、「おとり効果」と呼ばれる心理効果が存在します。
この「おとり効果(Decoy Effect)」の語源となる「デコイ(Decoy)」とは、狩猟の際に、おとりに使う鳥の模型を意味しています。
出典:Wikipedia
では、マーケティング心理学における「おとり効果」を説明しましょう。
これは、人は2つの価格が提示された際に、同時に戦略的に練られた3つ目の価格選択肢(デコイ)を提示されると、安い価格よりも高い価格を選択するようになる、という心理効果です。
「アンカリング効果」が、価格は一度に1つずつ見せて最初の印象を強める目的があるのに対して、「おとり効果」の場合は、同時に3つの価格選択肢が提示されるのが特徴的です。
雑誌「エコノミスト」の定期購読販売法
ここで、「おとり効果」について有名な事例をご紹介します。
著名な行動経済学者であり、『予想どおりに不合理』の著者であるMIT(マサチューセッツ工科大学)のダン・アリエリー教授が、人間の意思決定に関するスピーチで興味深いエピソードを紹介しています。
出典:TED『Are we in control of our own decisions?』
あるとき、アリエリー教授は、イギリスの経済誌である『エコノミスト(The Economist)』の定期購読に関する広告のオファーが気になったそうです。
そのオファーの内容とは、こちらの3つの選択肢でした。
1. デジタル雑誌の定期購読・・・59ドル
2. 紙雑誌による定期購読(実物の郵送)・・・125ドル
3. デジタル雑誌と紙雑誌の定期購読セット・・・125ドル
このオファーを見ると、違和感を覚えないでしょうか。
2番目と3番目はオファー内容が異なるにも関わらず、ともに同じ125ドルのオファーとなっています。
なぜ、エコノミストはこのような価格設定をしたのでしょうか。
不思議に感じたアリエリー教授は、エコノミストに連絡してその真意を問い合わせたそうです。
しかし、彼らから明確な回答は得られませんでした。
そこで、彼は自身が教授を務めるMIT(マサチューセッツ工科大学)の生徒100人に、彼らが実際にどの選択肢を選ぶかを実験したそうです。
前述した3つの選択肢が提示された際には、ほとんどの生徒が、以下のように3つ目の選択肢である「デジタル雑誌と紙雑誌の定期購読セット」を選択したそうです。
1. デジタル雑誌の定期購読・・・16人
2. 紙雑誌による定期購読(実物の郵送)・・・0人
3. デジタル雑誌と紙雑誌の定期購読セット・・・84人
生徒の大半が、この3つ目こそが、もっともお得な取引だと感じたようです。
しかし、ここで教授が2つ目の選択肢である「紙雑誌による定期購読(実物の郵送)」を除いて1.と3.の2つの選択肢のみを提示したところ、生徒の多くは以下のように安価な1つ目の選択肢「デジタル雑誌の定期購読」を選択したそうです。
1. デジタル雑誌の定期購読・・・68人
2. 紙雑誌による定期購読(実物の郵送)
3. デジタル雑誌と紙雑誌の定期購読セット・・・32人
この調査からわかったことは、結果的に2つ目の選択肢は無用だったにも関わらず、3つ目の選択肢を選ばせるための「おとり(デコイ)」だったということです。
1. デジタル雑誌の定期購読・・・59ドル
2. 紙雑誌による定期購読(実物の郵送)・・・125ドル ⇒ 「おとり(デコイ)」
3. デジタル雑誌と紙雑誌の定期購読セット・・・125ドル
本来、59ドルと125ドルの単純比較では安い方を選択する人が多いにも関わらず、「おとり(デコイ)」が存在するために結果的に高い方を選択する人が生まれる結果になりました。
これが、「おとり効果」の力です。
このマーケティング心理学は、マーケティングに長けたあらゆる企業の中で採用されています。
雑誌の定期購読だけでなく、日常的にソフトウェアの販売からワインの販売にいたるまで、多くの活用事例を見ることができます。
この原理がわかると、私たちが3つの価格選択肢が提示された際に、どれが「おとり(デコイ)」なのかを見極めることができるようになります。
もしもあなたが商品価格を提示する際に、たった2つの価格選択肢を提示している場合、3つ目の価格選択肢を用意し、本来誘引したい価格への「おとり(デコイ)」として設定すると販売効果が見込めるようになります。
ちなみに、ダン・アリエリー教授の著書である『予想どおりに不合理』は、人間の行動心理に関して興味深いエピソードが紹介されていますので、ぜひお読みになってみてください。
出典:『予想どおりに不合理』ダン・アリエリー (著)
【実践ワークセッション】
1. あなたの商品の中で、3種類の価格選択肢を提示できるものを挙げてください。
2. その中で、もっとも購入してほしい利益率の高い商品に誘導するために「おとり(デコイ)」を設定するとしたら、それぞれの商品価格をいくらにしますか?
5. ナンバー9の法則
あなたは、何らかの小売店に出かけてみて、1,000円や5,000円といった、切りのよい価格が少ないことに気付いたことがあるかもしれません。
多くの場合、999円や4,999円といった具合に、末尾に「9」という数字が使われているはずです。
実は、こちらにはマーケティング心理学上の意味があることをご存じでしょうか。
これは、わずか1円を値下げするだけで消費者にとって安いと感じさせる力が存在するのです。
これが、「ナンバー9の法則」と呼ばれるマーケティング心理学の原則です。
アメリカのコラムニスト、ウィリアム・パウンドストーンの著書である『プライスレス 必ず得する行動経済学の法則』によれば、8種類の実験を検証した結果、数字の末尾に「9」を使った価格表示は、末尾が「0」の価格よりも24%も売上が大きくなったそうです。
出典:『プライスレス 必ず得する行動経済学の法則』ウィリアム・パウンドストーン (著)
また、かつてMIT(マサチューセッツ工科大学)とシカゴ大学の共同研究として、女性向けの服において34ドル、39ドル、44ドルの3つの価格でのテストがおこなわれました。
その結果、驚くべきことに、もっとも安い34ドルの服を差し置いて、39ドルの服が一番売れたそうです。
実際には、あなたの商品すべてにこの法則を適用することはできないかもしれませんし、桁数が多い場合はあまりに9が並ぶと不自然に見えるかもしれません。
その場合でも、強調して売りたい商品に絞り込んで、たとえば「200万円」を「199万円」という切りのよい形で末尾を9に調整できるようでしたら、効果が期待できるはずです。
【実践ワークセッション】
1. あなたの商品について、「ナンバー9の法則」が適用できる商品はどれでしょうか?
2. その商品価格を「ナンバー9の法則」にもとづいて改定するとしたら、具体的に価格をいくらに設定しますか?
6. 奇数の法則
数字に関する法則については「ナンバー9の法則」に続き、「奇数の法則」というものをご紹介します。
数字には偶数と奇数の2種類が存在します。
マーケティング心理学では、奇数を使用すると高い効果が生まれることが実証されています。
Faculty Focus社の調査結果では、人間の脳は偶数よりも奇数のほうが自然で心地よく感じる傾向があるそうです。
よって、奇数は顧客とのエンゲージメントを促進させ、クリック率を高め、より注目を高めるキッカケになると言われています。
たとえば、あなたが配信するメールについて考えてみましょう。
「広告の父」と呼ばれ、日本でも著書『「売る」広告』で有名なデイヴィッド・オグルヴィは、「ボディコピーよりもヘッドラインのほうが5倍多く読まれる」と語っています。
広告の天才 デイヴィッド・オグルヴィ
出典:Wikipedia
出典:『「売る」広告[新訳]』デイヴィッド・オグルヴィ (著)
そのため、このヘッドラインの部分で「奇数」の数字を入れることで、効果的な反応を期待することができます。
Conductor社の調査によれば、ヘッドラインに数字を入れるだけでも、36%もクリック数の割合が増えると伝えています。
出典:Backlinko
さらに、Outbrain社の調査による15万ヘッドラインの分析では、ヘッドラインの数字は奇数のほうが偶数よりも20%もクリック率が高かったそうです。
出典:Backlinko
このようなメールのヘッドライン以外に、広告やソーシャルメディアのヘッドラインにも奇数は活用できます。
また、企画や商品のタイトルなどにも活用することが可能です。
たとえば、全世界で2,000万部以上を売り上げたスティーブン・R・コヴィー博士の世界的ベストセラー『7つの習慣』は、そのタイトルが奇数であることも興味深いと言えるでしょう。
出典:『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』スティーブン・R・コヴィー (著)
これが『6つの習慣』、あるいは『8つの習慣』では、市場に対するインパクトが違った可能性もあります。
あなたも何らかの企画や商品を新たに立ち上げる際には、奇数を活用してみることをおすすめします。
【実践ワークセッション】
1. あなたは「奇数の法則」をどのように実践しますか?実践できる内容を挙げてみてください。(例:ブログタイトル、メルマガの件名、商品名など)
2. 上記1.の回答にもとづいて、実際に「奇数の法則」を活用するとしたら、具体的にどのようなものが作れるでしょうか。いくつかアイデアを挙げてみてください。
7. 一貫性の法則
前述したチャルディーニ博士の定義によれば、「一貫性の法則」とは、「ひとたび決定を下したり、ある立場を取ると、そのコミットメントと一貫した行動を取るように、個人的にも対人的にも圧力がかかる」(出典:『影響力の武器』P.99)心理的作用のことを指します。
これは、「自分がすでにしたことと一貫していたい(そして、一貫していると見てもらいたい)という欲求によるもの」(出典:『影響力の武器』P.99)だとチャルディーニ博士は述べています。
そのため、これはマーケティング心理学でもよく使われるスキルになっています。
もしも販売者が顧客に対して何らかの立場を明確にさせるようコミットメントさせることができたら、顧客はその立場に自分の行動を合わせるよう一貫した行動を取るようになります。
フット・イン・ザ・ドア テクニック
この「一貫性の法則」から生まれたのが、「フット・イン・ザ・ドア テクニック」と呼ばれるものです。
これはもともと、「売り込みに訪れたセールスマンが、ドアを閉められる前に足を入れることさえできれば販売に成功する」というセールス上のテクニックを語源としています。
そして、マーケティング心理学では、「小さな要請から始めて、関連する大きな要請を最終的に承諾させる」(『影響力の武器』P.121)ことを意味して使用されています。
チャルディーニ博士の著書『影響力の武器』の中で、消費行動の研究者ダニエル・ハワードが、この理論を検証した研究結果が報告されています。
彼はテキサス州ダラスの住民に電話をかけて、「飢餓救済協会の者があなたの自宅を訪問してクッキーを売りにおこなってもよいか」と尋ねたそうです。
住民は、そのクッキー販売の収益が、貧しい人たちに食事を提供することに使われると言われました。
これだけを伝えた場合、この要請(標準要請)はわずか18%の同意しか得られなかったそうです。
しかし、依頼者が依頼する前に簡単な挨拶の言葉として「今晩のご機嫌はいかがですか?」と切り出し、少し間をとって相手が返事をするのを待ったあとに標準要請をした場合、劇的な変化がありました。
第1に、電話をかけた120人のうち108人が、おきまりの好意的な挨拶(「上々です」「まあまあです」)を返しました。
第2に、そのような質問をされた人の32%がクッキーを売りに自宅にやってくることに同意したそうです。
これは、標準要請の2倍にあたる成功率でした。
第3に、「一貫性の法則」から予測されるように、そのような訪問に同意した人のほとんどすべて(89%)が、訪問されたときに実際にクッキーを購入することになったそうです。(『影響力の武器』P.117~P.118)
この検証結果から、あなたが何かを販売したい見込み顧客からは「最初の小さなコミットメント」を得ることが非常に重要であるとわかります。
フリートライアルオファー
「一貫性の法則」をマーケティングに活用するために、もっとも効果的な施策のひとつが、「フリートライアルオファー」です。
フリートライアルとは、無料お試しを意味します。
たとえば、こちらはマーケティングのソフトウェアを開発しているMoz社のフリートライアルオファーです。
出典:Moz
こちらは、彼らのサービスを30日間、無料お試しできるオファーになっています。
30日間の利用は無料ですが、その後は1ヵ月あたり149ドルの費用がかかる仕組みになっています。
こちらは登録時にクレジットカード情報は入力するものの、当面30日間の費用が発生しないことで、支払負担に関する心理的な痛みが弱くなっています。
しかしながら、実際にはサービス自体に申し込むというコミットメントをしたことになるため、「一貫性の法則」から、30日以降も継続される可能性が生まれます。
もちろん、30日後は解約する人も生まれるでしょうが、その割合を見込んだうえで新規顧客を大量に獲得できれば、この試みは成功することになります。
たとえば、こちらはマーケターであるアンドリュー・ハンセン(Andrew Hansen)がおこなったアフィリエイトコースのキャンペーンで、セールスページから離れようとすると画面上に表示されるポップアップになります。
これは、彼のアフィリエイトコースにわずか1ドルで参加できるというオファーになっています。
ただし、こちらの簡易なコースに参加するのは1ドルですが、すべてが学べるフルコースに参加しようとすると別途費用が発生するようになっています。
こちらの結果は非常に興味深く、1ドルオファーを受け取った人の実に54%が、フルコースに参加したそうです。
こちらはもともと、セールスページを離脱して閉じようとしていた人たちにオファーされた内容でした。
そのため、オファーを受けた人たちは、もうこの商品を購入する意思はまったくない人たちだったと言えます。
そのような人たちであるにも関わらず、1ドルオファーを受け取ったために、「一貫性の法則」が働き、54%もの人たちがフルコースを購入する結果になりました。
このように、「一貫性の法則」を実践する場合は「最初の障壁」をできるだけ低くして、わかりやすくシンプルなオファーを投げかけると成功しやすくなります。
これは比較的実践しやすい方法ですので、ぜひあなたのキャンペーンでも試してみることをおすすめします。
【実践ワークセッション】
1. あなたの商品の中で、今一つ売上が伸びない商品を挙げてみてください。
2. その商品について、「一貫性の法則」を適用するために初回取引を容易にするとしたら、どのような方法が考えられるでしょうか。
8. 単純接触効果(ザイアンス効果)
「単純接触効果(ザイアンス効果)」とは、何かに繰り返し接すると好意度や印象が高まるという心理効果です。
これは1968年にアメリカの心理学者、ロバート・ザイアンスが発表した法則です。
心理学者 ロバート・ザイアンス
出典:Wikipedia
あるとき、彼は漢字を知らないアメリカ人に対して、様々な漢字を1回から25回に渡って見せるという実験をおこないました。
その結果、提示頻度の高い漢字については、その漢字に対する好感度が高くなったそうです。
なお、彼はそのほかにも人の顔を始めとする様々な研究をおこないましたが、どれも単純に接触頻度の高い対象物に対しては好感度が高くなる傾向があることを発見しました。
この原理は様々なものに適用されるため、マーケティング上は「よく見かける広告は良い商品に違いない」と思いこむ原因になると言われています。
この心理効果を実践するためには、あなたが見込み顧客と接する回数を増やすことです。
たとえば、各種ソーシャルメディアやメールマガジン、ステップメール等で接触頻度が高ければ高いほど、あなたの印象が強くなり、無意識のうちに好意を抱いてもらえる確率が高まります。
もちろん、すべての接触にこの法則が当てはまるわけではありませんが、あなたが質の高いメッセージを繰り返し発信するなら、この法則は機能しやすくなります。
もしもあなたが普段から見込み顧客や顧客に発信するメッセージが少ないようでしたら、その頻度を高めてみることをおすすめします。
【実践ワークセッション】
1. 「単純接触効果」を活かすために、あなたがオンライン上で接触機会を増やすことができる方法は何でしょうか?
2. 「単純接触効果」を活かすために、あなたが対面の場で接触機会を増やすことができる方法は何でしょうか?
9. ビジュアル優位の法則
最新の調査によれば、人間の脳はテキストのような文章よりも、画像のようなイメージのほうが素早く情報処理ができるそうです。
最近では「ビジュアルコンテンツマーケティング」という言葉も生まれているように、写真画像はもちろんのこと、ビデオやインフォグラフィックが重用されるようになっています。
そこで重視されているのが、「ビジュアル優位の法則」です。
Upmail社による調査では、以下のような結果がわかっています。
- 人間の脳に送信される情報の90%はビジュアルイメージである
- 人間の脳はテキストよりもビジュアルイメージのほうが6万倍早く情報を処理できる
- 40%もの人々が平易なテキストよりもビジュアルイメージにより反応する
出典:Upmail
これは、あなたがこれから何らかのコンテンツを公開していく際には、ビジュアルコンテンツを多用したほうがよいことを意味します。
特にソーシャルメディア上のコンテンツは画像や動画が注目されやすい仕組みになっています。
また、あなたが何らかのプロモーションを展開する際にも、単純に文章だけで説得しようとするのではなく、オンライン動画やウェビナーのようなビジュアルコンテンツを利用することも有効です。
これは人間心理の原則でもありますが、最近のネットマーケティングのトレンドにも合致しています。
ぜひ、あなたのコンテンツ発信やプロモーションにおいて、ビジュアルコンテンツが活用できないか、確認してみることをおすすめします。
【実践ワークセッション】
1. Facebookのニュースフィードを見ていて、もっとも目につくビジュアルコンテンツにはどのような特徴があったか、挙げてみてください。
2. あなたの商品を販売する際に、ビジュアルコンテンツを活用できるとしたら、どのような方法が考えられますか?(例:画像の多用、ウェビナーでのプレゼンなど)
まとめ
本記事では「マーケティング心理学」として、9つの原則をご紹介しました。
それぞれの原則をご紹介したあとにはワークセッションを用意しましたので、ぜひその質問に答えて、あなたのビジネスにおける実践アイデアを考えてみてください。
今回お伝えした以下の原則は、マーケティング心理学の中でも代表的なものになります。
- 返報性の法則
- 社会的証明の法則
- アンカリング効果
- おとり効果
- ナンバー9の法則
- 奇数の法則
- 一貫性の法則
- 単純接触効果(ザイアンス効果)
- ビジュアル優位の法則
これらの中には、私たちが他社から受けるマーケティングの中で、日常的に触れている原則も多いのではないでしょうか。
マーケティングの現場では、「あるメッセージには反応がないが、あるメッセージには反応が高い」という違いが生まれてきます。
その違いの大きな原因となっているのが、マーケティング心理学なのです。
私たちが販売活動をおこなう際には、このような人間の行動心理を学んでおくことで、相手に望む反応が得られやすくなります。
さらに、このような人間の行動心理を学ぶことは、あなたのビジネスの成功はもちろんのこと、人との日常的なコミュニケーションも円滑に進むようになるメリットがあります。
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最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
リードコンサルティング株式会社
代表取締役 小谷川 拳次
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起業家。作家。投資家。
2009年、リードコンサルティング株式会社設立。デジタルコンテンツを主軸としたインターネット集客、電子書籍マーケティング、サブスクリプションビジネスのコンサルティング及びコンテンツ販売システム、自動ウェビナー販促システムの提供によるマーケティングオートメーション(MA)の導入支援を行う。ビジネス書作家としても活動。2018年からは投資事業を開始。2023年にはオウンドメディア『生成AIマーケティングの教科書』を開設。ChatGPTを中心とする生成AIマーケティングの専門家として、多数の専門記事を著者として公開している。日刊メルマガ【ChatGPT速習メール講座】では、5千人を超える読者にメールマガジンを配信中。
著書は『Facebookでお客様をどんどん増やす本』(中経出版/2011年)、『電子書籍を無名でも100万部売る方法』(東洋経済/2012年)、『小さな会社がお金をかけずにお客さまをガンガン集める方法』(KADOKAWA/2013年)など、累計50冊を出版している。
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2009年、リードコンサルティング株式会社設立。デジタルコンテンツを主軸としたインターネット集客、電子書籍マーケティング、サブスクリプションビジネスのコンサルティング及びコンテンツ販売システム、自動ウェビナー販促システムの提供によるマーケティングオートメーション(MA)の導入支援を行う。ビジネス書作家としても活動。2018年からは投資事業を開始。2023年にはオウンドメディア『生成AIマーケティングの教科書』を開設。ChatGPTを中心とする生成AIマーケティングの専門家として、多数の専門記事を著者として公開している。日刊メルマガ【ChatGPT速習メール講座】では、5千人を超える読者にメールマガジンを配信中。
著書は『Facebookでお客様をどんどん増やす本』(中経出版/2011年)、『電子書籍を無名でも100万部売る方法』(東洋経済/2012年)、『小さな会社がお金をかけずにお客さまをガンガン集める方法』(KADOKAWA/2013年)など、累計50冊を出版している。
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