ChatGPTで社内規程を作れる?たたき台作成と専門家確認の進め方
社内規程は、きれいな文案を作れば完成するものではありません。適用対象、権限、申請方法、例外、違反時の対応を自社の実態に合わせ、法務・労務などの確認と社内承認を経て初めて運用できます。
社内ルールが口頭だけで伝わっていると、担当者によって判断が変わり、申請漏れや不公平感が生じます。反対に、他社のひな形をそのまま使うと、自社に存在しない部署、承認者、制度が残り、実務で守れない規程になりかねません。「ChatGPT 社内規程 作成」で検索した方に必要なのは、AIに完成版を任せる方法ではなく、論点を洗い出し、専門家が確認しやすいたたき台へ整える方法です。
ChatGPTは、目的や対象者を整理し、条文構成、定義、申請手順、例外、確認質問の下書きを作れます。一方、法令への適合、従業員への不利益、労使手続、業界固有の義務、懲戒の妥当性などは、AIだけでは確定できません。
この記事では、作成する規程の種類を決め、現状を聞き取り、条文の骨組みを作り、関係部門と専門家の確認を経て施行するまでを7段階で解説します。コピペできる3つのプロンプトと、生成AI利用規程の架空例も紹介します。
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目次
- 1 結論:ChatGPTは規程のたたき台と論点整理に使う
- 2 社内規程と就業規則を混同しない
- 3 ChatGPTと人の役割を分ける
- 4 規程の種類ごとに確認先を変える
- 5 作成前に集める12項目
- 6 条文の基本構成を決める
- 7 ChatGPTで社内規程を作る7つの手順
- 8 プロンプト1:作成前の論点を洗い出す
- 9 条文は「主語・行為・条件・期限・証跡」で書く
- 10 プロンプト2:確認用の規程文案を作る
- 11 架空例:生成AI利用規程の構成案
- 12 禁止事項だけでなく利用条件を書く
- 13 プロンプト3:矛盾と専門家確認事項を整理する
- 14 専門家レビューの前に論点表を渡す
- 15 施行前に現場テストを行う
- 16 周知と同意を同じものと考えない
- 17 版管理と定期改定を決める
- 18 機密情報をChatGPTへ入力する前に確認する
- 19 よくある失敗8つ
- 20 施行前チェックリスト18項目
- 21 よくある質問
- 22 筆者の実務視点
- 23 まとめ
- 24 参考情報
- 25 著者情報
- 26 関連記事
結論:ChatGPTは規程のたたき台と論点整理に使う
ChatGPTで社内規程を作る場合は、最初から条文を書かせるのではなく、目的、適用範囲、現行運用、根拠資料、決めていない事項を整理することから始めます。そのうえで構成案と文案を生成し、関係部門、経営責任者、必要な専門家が確認します。
| 段階 | 成果物 | 主な責任者 |
|---|---|---|
| 1.企画 | 規程の目的、対象、所管部門 | 経営者・所管責任者 |
| 2.現状整理 | 現在のルール、問題、関連文書 | 実務担当・管理部門 |
| 3.論点整理 | 決定事項、未決事項、法的確認事項 | 所管責任者 |
| 4.文案作成 | 章立て、条文、様式のたたき台 | ChatGPTと作成担当 |
| 5.審査 | 修正案、専門家意見、承認記録 | 法務・労務・経営者 |
| 6.施行準備 | 周知資料、教育、申請導線 | 所管部門 |
| 7.運用 | 問い合わせ記録、改定履歴 | 運用責任者 |
完成条件は「文章が整ったこと」ではありません。規程に書かれた申請、承認、記録、相談、違反時対応を、実際の組織で実行できる状態になったことです。
社内規程と就業規則を混同しない
社内で使う文書は、名称が似ていても法的な位置づけと手続が異なります。特に就業規則に当たる内容は、一般的な業務マニュアルと同じ感覚で改定しないよう注意が必要です。
| 文書 | 主な役割 | 例 | 確認上の注意 |
|---|---|---|---|
| 社内規程 | 組織として守る原則、権限、手続を定める | 情報管理規程、経費規程、職務権限規程 | 上位規程、法令、契約との整合 |
| 就業規則・付属規程 | 労働条件や服務規律等を定める | 就業規則、賃金規程、育児介護休業規程 | 労働法令、労使手続、届出、周知 |
| 細則・要領 | 規程を具体的に運用する | 申請要領、在宅勤務細則 | 規程を超える制限を設けていないか |
| マニュアル | 担当者が行う操作や作業を示す | 経費申請マニュアル | システムや業務変更への追随 |
| ガイドライン | 望ましい判断や行動の方向を示す | SNS利用ガイドライン | 義務と推奨を明確に分ける |
厚生労働省は、常時10人以上の従業員を使用する使用者について、労働基準法第89条に基づく就業規則の作成と所轄労働基準監督署長への届出が必要であり、変更時も同様であると説明しています。また、モデル就業規則を参考にしつつ、各事業場の実情に応じて作成するよう案内しています。
労働局の案内では、就業規則の作成・変更時に、過半数労働組合または過半数代表者の意見書を添える手続も示されています。自社文書が就業規則または付属規程に当たるか、届出や意見聴取が必要かは、社会保険労務士、弁護士、所轄労働基準監督署などへ確認してください。
ChatGPTと人の役割を分ける
| 作業 | ChatGPTに任せやすいこと | 人が確定すること |
|---|---|---|
| 聞き取り準備 | 目的別の質問と確認項目を作る | 誰へ何を確認するか |
| 資料整理 | 既存文書の重複、用語、空欄を整理する | どの文書を正本とするか |
| 章立て | 一般条項、手続、例外、附則へ構造化する | 自社に必要な条項と順序 |
| 文案 | 平易な条文、定義、申請手順を下書きする | 義務、権利、権限、期限の内容 |
| 整合確認 | 用語の揺れ、参照条文、矛盾候補を示す | 法令、契約、実態との適合 |
| 周知資料 | 要約、FAQ、説明会資料を作る | 施行日、対象者、問い合わせ先 |
| 改定管理 | 新旧対照表と変更点を整理する | 承認、公布、旧版廃止、教育 |
ChatGPTには事実を推測させず、不明点を「要確認」と表示させます。もっともらしい条文が出ても、その条文が自社へ適用される法令や最新の制度を反映しているとは限りません。
規程の種類ごとに確認先を変える
社内規程は一律に同じ専門家へ確認するものではありません。規程が扱う権利義務とリスクに応じて、所管部門と専門家を組み合わせます。
| 規程の例 | 主な社内部門 | 外部確認の候補 | 重点論点 |
|---|---|---|---|
| 就業・賃金・休職 | 人事・労務 | 社会保険労務士、弁護士 | 労働条件、手続、不利益変更、周知 |
| 懲戒・ハラスメント | 人事・コンプライアンス | 弁護士、社会保険労務士 | 適正手続、比例性、相談者保護 |
| 情報管理・個人情報 | 法務・情報システム | 弁護士、情報セキュリティ専門家 | 取得、利用、保存、アクセス、事故対応 |
| 経費・購買・出張 | 経理・総務 | 税理士、弁護士 | 証憑、税務、承認権限、不正防止 |
| 取締役会・職務権限 | 経営企画・法務 | 弁護士、司法書士等 | 会社法、定款、機関設計、決裁権限 |
| 生成AI利用 | 経営企画・法務・情報システム | 弁護士、セキュリティ専門家 | 入力情報、知的財産、検証、利用環境 |
表は一般的な整理です。資格者の業務範囲や自社の業種により、適切な相談先は変わります。特定分野の許認可や監督指針がある場合は、その分野に詳しい専門家も加えます。
作成前に集める12項目
| 項目 | 確認内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 1.目的 | 何を統一・防止・実現するか | 生成AI利用時の情報漏えいと誤用を防ぐ |
| 2.適用対象 | 役員、従業員、委託先など | 役員、正社員、契約社員 |
| 3.適用範囲 | 業務、拠点、システム、情報 | 会社が承認した生成AIの業務利用 |
| 4.対象外 | 別規程で扱う事項 | 顧客向けAIサービスの開発 |
| 5.根拠資料 | 法令、定款、上位規程、契約 | 情報管理規程、雇用契約、顧客契約 |
| 6.現行運用 | 実際に行われている申請・承認 | 新サービス利用前に情シスへ申請 |
| 7.用語 | 意味を統一すべき言葉 | 生成AI、機密情報、承認済みサービス |
| 8.権限 | 申請者、承認者、管理者 | 所属長承認、情シス最終登録 |
| 9.禁止・義務 | してはいけないこと、必ず行うこと | 認証情報の入力禁止、出力の事実確認 |
| 10.例外 | 例外を認める条件と承認者 | 法務・情シスの事前承認 |
| 11.記録 | 保存物、保存先、保存期間 | 申請書、承認記録、事故報告 |
| 12.改定 | 見直し時期と責任者 | 年1回および重大変更時 |
既存規程がある場合は、規程名、版番号、制定日、最終改定日、所管部署、承認機関を一覧にします。新しい規程だけを見ると、上位規程との重複や矛盾を見落としやすいためです。
条文の基本構成を決める
規程の種類により章立ては変わりますが、次の要素を確認すると抜けを見つけやすくなります。
| 要素 | 記載する内容 | 確認質問 |
|---|---|---|
| 目的 | 規程が実現・防止すること | この規程が必要な理由は何か |
| 定義 | 重要用語の意味 | 読み手ごとに意味が変わらないか |
| 適用範囲 | 人、業務、情報、場所 | 誰のどの行為に適用するか |
| 原則 | 判断の基本方針 | 個別条文にない場合の判断軸は何か |
| 義務 | 必ず行う行為 | 誰が、いつまでに、何をするか |
| 禁止事項 | 行ってはならない行為 | 禁止範囲と理由が過不足なく伝わるか |
| 申請・承認 | 申請内容、承認者、記録 | 実際に使える申請導線があるか |
| 例外 | 例外条件、承認、期限 | 誰がどの根拠で認めるか |
| 事故・違反対応 | 報告先、初動、調査、再発防止 | 懲戒だけでなく早期報告を促せるか |
| 附則 | 制定、改定、施行日 | いつからどの版を使うか |
ChatGPTで社内規程を作る7つの手順
- 目的と規程の種類を決める:解決する問題、適用対象、就業規則との関係、所管部署を定めます。
- 現行文書と運用を集める:法令、上位規程、契約、申請書、実際の承認手順、過去の問題を確認します。
- 決定事項と未決事項を分ける:経営判断で決める点、現場確認が必要な点、専門家へ確認する点を一覧にします。
- 章立てと条項表を作る:各条の目的、担当、義務、例外、証跡を表にし、抜けを確認します。
- ChatGPTで文案を作る:確定した材料だけを使わせ、不明点を推測させず、条文と確認事項を分けて出力します。
- 社内・専門家レビューを行う:実務、法務、労務、情報管理、経営の視点で整合と実行可能性を確認します。
- 承認・周知・改定管理を行う:施行日、教育、申請様式、問い合わせ先、旧版廃止、見直し時期を設定します。
条文の作成と業務設計は別作業ではありません。「事前に申請する」と書くなら、申請フォーム、承認者、回答期限、緊急時の手順まで用意する必要があります。
プロンプト1:作成前の論点を洗い出す
あなたは社内規程作成の論点整理を補助する担当者です。完成した法的文書を作るのではなく、関係者と専門家が確認するための質問表を作ってください。
【作成したい規程】[規程名]
【目的】[解決したい問題]
【想定する適用対象】[役員、従業員、委託先など]
【現在の運用】[分かる範囲]
【関連文書】[就業規則、上位規程、契約、申請書など]
【過去に起きた問題】[内容]
次の順で出力してください。
1.目的と適用範囲の確認質問
2.義務、禁止事項、申請、承認、例外の確認質問
3.記録、教育、事故対応、改定の確認質問
4.社内で経営判断すべき事項
5.実務担当者へ確認すべき事項
6.法務・労務等の専門家へ確認すべき事項
条件:
・法令や事実を推測しない
・不明点は「要確認」と表示する
・一つの質問で一つの論点を確認する
・誰が、何を、いつ、どの条件で行うかを明確にする
・就業規則または労働条件に関係する可能性がある項目を別に示す
OpenAI公式のPromptingでは、Goal、Context、Output、Boundariesという考え方が示されています。このプロンプトでも、目的、参考資料、出力順、推測禁止、専門家確認という境界を明確にしています。
条文は「主語・行為・条件・期限・証跡」で書く
規程が曖昧になる主な原因は、主語と判断条件が抜けることです。「必要に応じて速やかに報告する」だけでは、誰が必要性を判断し、いつまでに、どこへ報告するのかが分かりません。
| 要素 | 曖昧な例 | 明確化する質問 |
|---|---|---|
| 主語 | 事前に申請する | 誰が申請するのか |
| 行為 | 適切に管理する | 具体的に何を行うのか |
| 条件 | 必要な場合は承認を得る | どの条件なら承認が必要か |
| 期限 | 速やかに報告する | 発見後何時間・何営業日以内か |
| 相手 | 責任者へ相談する | どの役職・窓口へ相談するか |
| 証跡 | 確認を受ける | どの記録をどこへ残すか |
| 例外 | 特別な場合を除く | 特別な場合を誰が認定するか |
ただし、全てを一つの条文へ詰め込むと読みにくくなります。規程には原則と責任を置き、詳細な入力項目や画面操作は申請要領やマニュアルへ分けます。
プロンプト2:確認用の規程文案を作る
以下の確定情報だけを使い、社内規程の確認用たたき台を作ってください。
【規程名】[名称]
【目的】[内容]
【適用対象・範囲】[内容]
【用語の定義】[内容]
【原則】[内容]
【義務】[内容]
【禁止事項】[内容]
【申請・承認】[申請者、承認者、期限、記録]
【例外】[条件、承認者、期限]
【事故・違反時】[報告先、初動]
【教育・記録】[内容]
【施行・改定】[内容]
【関連文書】[名称と関係]
出力形式:
1.章立て
2.条番号付きの文案
3.条文ごとの根拠資料・確認者・未確定事項の対照表
4.用語、参照条文、申請導線、権限の矛盾候補
5.専門家へ確認する質問
条件:
・入力にない法令名、数値、期限、部署、制度を補わない
・未確定事項は本文へ埋め込まず「要確認」とする
・義務、推奨、禁止を区別する
・一つの条文に複数の異なる義務を詰め込まない
・この文案を完成版、法的助言、届出可能な文書として扱わない
条文だけでなく、根拠資料と確認者を一緒に出力させる点が重要です。どこから出た文案か追跡できれば、専門家レビューと将来の改定がしやすくなります。
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架空例:生成AI利用規程の構成案
次は、生成AIを社内で利用する会社を想定した架空の構成案です。実際の製品、契約、情報区分、業務、法令、顧客との約束に合わせて変更し、法務・情報システム・経営責任者等の確認を受けてください。
| 条 | 見出し | 定める内容 | 確認担当 |
|---|---|---|---|
| 第1条 | 目的 | 安全で適正な業務利用と責任ある確認 | 経営企画・法務 |
| 第2条 | 定義 | 生成AI、入力情報、生成物、承認済みサービス | 法務・情報システム |
| 第3条 | 適用範囲 | 対象者、対象業務、対象端末・アカウント | 人事・情報システム |
| 第4条 | 基本原則 | 人による確認、説明責任、目的外利用の禁止 | 経営責任者 |
| 第5条 | 利用環境 | 会社が承認したサービス、契約、設定 | 情報システム |
| 第6条 | 入力禁止情報 | 認証情報、個人情報、顧客機密、未公開情報 | 法務・情報システム |
| 第7条 | 事前承認 | 高リスク用途、新サービス、外部提供の申請 | 所属長・所管部門 |
| 第8条 | 生成物の確認 | 事実、出典、数値、権利、差別・偏りの確認 | 利用者・承認者 |
| 第9条 | 外部利用 | 顧客提出、公開、契約、表示の確認 | 法務・事業責任者 |
| 第10条 | 記録 | 重要用途の目的、入力範囲、確認者、承認 | 利用部門 |
| 第11条 | 事故報告 | 誤入力、漏えい疑い、誤公開時の連絡 | 情報システム・法務 |
| 第12条 | 教育 | 利用前教育、定期更新、理解確認 | 人事・所管部門 |
| 第13条 | 監査・是正 | 利用状況の点検と改善 | 内部監査・所管部門 |
| 第14条 | 違反時対応 | 調査、利用停止、関係規程との接続 | 人事・法務 |
| 第15条 | 改定・施行 | 所管、承認、施行日、見直し条件 | 経営責任者 |
個人情報保護委員会は、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています。個人情報を扱う場合は、利用目的、入力の必要性、サービスの利用条件、データの取扱い、人による確認などを自社の責任で検討し、単に「AIへ入力しない」と書くだけで終わらせないことが大切です。
禁止事項だけでなく利用条件を書く
禁止事項を増やすだけの規程は、現場が何なら利用できるのか判断できません。禁止、条件付き許可、義務、相談対象を分けると運用しやすくなります。
| 区分 | 意味 | 生成AI利用規程の例 |
|---|---|---|
| 禁止 | 原則として認めない | パスワードや秘密鍵を入力しない |
| 条件付き許可 | 承認や対策があれば認める | 顧客向け利用は法務・事業責任者の承認を得る |
| 義務 | 利用者が必ず行う | 重要な数値と出典を原資料で確認する |
| 推奨 | 望ましい行動 | 機密性のない架空データで形式を検証する |
| 相談 | 判断できない場合の窓口 | 情報区分が不明なら入力前に所管部門へ相談する |
違反時対応も、直ちに懲戒へ結びつけるだけでは不十分です。早期報告を促し、被害拡大防止、事実確認、関係者連絡、原因分析、再発防止へつなぐ手順を定めます。懲戒との関係は就業規則や適正手続との整合を専門家へ確認します。
プロンプト3:矛盾と専門家確認事項を整理する
次の社内規程案を、確定・承認するのではなく、レビュー用の論点表へ変換してください。
【規程案】
[全文を貼り付ける]
【関連文書】
[上位規程、就業規則、申請要領、契約条項など]
次の観点で確認してください。
・目的と適用範囲の一致
・用語の定義と表記の統一
・義務、禁止、推奨の区別
・申請者、承認者、期限、記録の不足
・例外条件と例外承認者の不足
・参照条文、上位規程、関連文書との矛盾候補
・実務で実行できない可能性がある条文
・従業員の権利義務や労働条件に影響する可能性
・個人情報、機密情報、知的財産、契約に関する確認事項
・周知、教育、施行、旧版廃止、改定管理の不足
出力は「条番号/問題候補/理由/確認先/確認質問/修正案」の表にしてください。
法的判断は断定せず、根拠資料と専門家に確認すべき質問を示してください。
専門家レビューの前に論点表を渡す
専門家へ「全部確認してください」と依頼するより、規程の目的、変更理由、未決事項、確認したい質問を整理した方が、確認範囲と費用を把握しやすくなります。
| 渡す資料 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 規程案 | 条番号付きの最新版 | 確認対象を固定する |
| 新旧対照表 | 現行と改定案の差 | 影響範囲を把握する |
| 関連文書一覧 | 上位規程、契約、申請様式 | 矛盾を確認する |
| 運用フロー | 申請、承認、記録、事故対応 | 実行可能性を確認する |
| 論点表 | 未決事項、質問、希望する扱い | 判断が必要な箇所を明確にする |
| 施行計画 | 承認、周知、教育、施行日 | 必要な手続を確認する |
専門家の指摘を反映するときは、ChatGPTへ回答全文を無条件に貼り付けず、機密性と利用環境を確認します。修正理由と判断者を改定履歴へ残し、AIが別の言葉へ変えて意味を変えていないか再確認します。
施行前に現場テストを行う
規程案を一読するだけでは、申請フォームがない、承認者が不在、例外時の連絡先が分からないといった問題を見つけにくいものです。代表的なケースを使って、規程どおりに処理できるか試します。
| テストケース | 確認すること | 不備の例 |
|---|---|---|
| 通常利用 | 申請から承認、記録まで進めるか | 申請先のリンクがない |
| 緊急利用 | 例外承認と期限後レビューがあるか | 緊急の定義がない |
| 判断困難 | 相談窓口と回答責任者がいるか | 複数部署が互いに判断を回す |
| 違反・事故 | 初動、報告、利用停止ができるか | 報告すると直ちに処罰されるように読める |
| 担当者不在 | 代理承認と権限が定められているか | 業務が止まる |
| 退職・異動 | アカウント、記録、権限を更新できるか | 個人名が条文に固定されている |
周知と同意を同じものと考えない
規程をメールで送ること、従業員が内容を理解すること、法的に必要な手続を満たすことは同じではありません。対象者に応じて、説明会、FAQ、理解確認、管理職向け運用研修、申請マニュアルを組み合わせます。
- 施行日と旧ルールの終了日を明記する
- 変更点と従業員への影響を要約する
- 質問を受ける窓口と回答期限を決める
- 管理職と一般利用者の教育内容を分ける
- 法令上必要な意見聴取、届出、周知等を確認する
- 周知記録、受講記録、改定通知を保存する
従業員の権利義務へ影響する改定では、単に同意欄へチェックを求めれば足りるとは限りません。変更内容、必要性、手続、説明方法を専門家へ確認します。
版管理と定期改定を決める
| 管理項目 | 記録内容 |
|---|---|
| 規程番号・名称 | 他文書と区別できる識別情報 |
| 版番号 | 初稿、審査版、承認版の区別 |
| 制定・改定・施行日 | 決定日と適用開始日を分ける |
| 所管部署 | 問い合わせと改定の責任部署 |
| 承認機関・承認者 | 取締役会、代表者、所管責任者等 |
| 変更理由 | 法改正、事故、業務変更、定期見直し |
| 影響文書 | 様式、マニュアル、契約、教育資料 |
| 旧版の扱い | 廃止表示、保存、閲覧制限 |
| 次回見直し | 予定日と臨時改定の条件 |
法令、組織、サービス、契約が変わると規程だけが古くなることがあります。定期日だけでなく、法改正、重大事故、新システム導入、組織再編などを臨時見直しの条件にします。
機密情報をChatGPTへ入力する前に確認する
社内規程案には、従業員情報、懲戒事案、セキュリティ設定、顧客との秘密保持条件、未公表の組織変更などが含まれる場合があります。利用環境、契約、管理設定、社内の生成AI利用ルールを確認し、必要最小限の情報だけを使います。
- 個人名、顧客名、事案の日時を役割名や架空情報へ置き換える
- 認証情報、秘密鍵、システムの弱点を入力しない
- 契約書や専門家意見の転載・入力可否を確認する
- 実在事案ではなく抽象化した論点で文案を試す
- 出力をそのまま正式規程として公布しない
よくある失敗8つ
- 他社のひな形をそのまま使う:存在しない部署、制度、承認者が残ります。
- 条文から書き始める:目的と適用範囲が揺れ、後から全体を直すことになります。
- 禁止事項だけを増やす:現場は安全に利用できる条件を判断できません。
- 曖昧な言葉を放置する:「必要に応じて」「速やかに」の判断が担当者へ依存します。
- 就業規則との関係を見ない:労働条件、服務、懲戒に関する手続や整合を見落とします。
- AIの法令説明を確定情報にする:適用関係、改正、例外を誤る可能性があります。
- 申請導線を作らない:守りたくても守れない規程になります。
- 施行後に見直さない:法令、組織、システムの変更と規程がずれます。
施行前チェックリスト18項目
- 規程の目的と解決する問題が明確である
- 規程、細則、マニュアルの役割を分けている
- 適用対象、適用範囲、対象外を定めている
- 用語の定義と表記を統一している
- 上位規程、就業規則、契約との関係を確認した
- 義務、禁止、推奨、条件付き許可を区別している
- 申請者、承認者、期限、記録が明確である
- 代理承認と担当者不在時の手順がある
- 例外条件、承認者、有効期限、事後確認がある
- 事故・違反時の報告先と初動がある
- 懲戒等との関係を専門家へ確認した
- 実務部門が通常・例外ケースでテストした
- 必要な法務・労務・情報管理の確認を受けた
- 承認機関と承認記録が明確である
- 必要な意見聴取、届出、周知等を確認した
- 申請様式、FAQ、教育、問い合わせ窓口がある
- 版番号、施行日、旧版廃止、改定履歴がある
- 定期見直し日と臨時改定の条件がある
よくある質問
Q1.ChatGPTだけで社内規程を完成できますか?
完成はできません。目的整理、章立て、文案、矛盾候補、確認質問の作成には使えますが、法令への適合、自社への適用、労使手続、権限、実行可能性は人と専門家が確定します。
Q2.最初にどの規程から作ればよいですか?
法令上の義務、事故リスク、判断のばらつき、問い合わせ件数、事業への影響で優先順位を付けます。特に、守るべきルールがあるのに文書や申請導線が存在しない分野から着手します。
Q3.厚生労働省のモデル就業規則をそのまま使えますか?
参考にはできますが、自社の事業場、労働条件、制度、職種、承認手順へ合わせる必要があります。厚生労働省も各事業場の実情に応じた作成を案内しています。届出や意見書等の手続も確認してください。
Q4.ChatGPTが示した法律名や条文番号は信用できますか?
そのまま信用せず、公的な最新資料と専門家で確認します。条文番号が合っていても、自社への適用、例外、施行時期、他法令との関係を誤る場合があります。
Q5.専門家にはどの段階で相談すべきですか?
重要な方向性を決める前と、文案が整った後の少なくとも二段階が有効です。最初に適用法令と必要手続を確認し、後半で条文、運用、施行計画を確認すると、大幅な手戻りを減らせます。
Q6.社内規程は細かいほどよいですか?
細かければよいとは限りません。変わりにくい原則、責任、権限は規程へ置き、頻繁に変わる申請項目や画面操作は要領・マニュアルへ分けると、規程を安定させながら運用を更新できます。
Q7.規程違反には必ず罰則を書いた方がよいですか?
一律にはいえません。違反の定義、調査、弁明、是正、就業規則の懲戒条項との関係、処分の相当性などを確認する必要があります。安易に罰則文言を追加せず、労務・法務の専門家へ相談してください。
Q8.ChatGPTで社内規程を作るときの最大の注意点は何ですか?
もっともらしい文章を「正しい規程」と誤認しないことです。AIは自社の決裁権限、労使関係、契約、実際の運用を知りません。文案の出所と未確定事項を明示し、専門家確認と社内承認を経てください。
筆者の実務視点
私が社内規程のたたき台を確認するときは、禁止事項の数よりも「現場が迷ったときの行き先」を見ます。判断条件、申請先、承認者、回答期限、例外処理がなければ、立派な文章でも現場では使われません。規程を守らせる前に、守れる業務フローを用意することが経営側の責任です。
もう一つ重視するのは、規程本文と経営判断を分けることです。ChatGPTは文章を整えられますが、どのリスクを許容し、誰に権限を与え、違反時にどのような対応を取るかは経営判断です。未決事項を隠して条文化するのではなく、論点表として経営者と専門家へ戻す。この使い方が、AIを安全な作成補助者にします。
まとめ
ChatGPTで社内規程を作る際は、規程の種類、目的、適用範囲、現行運用、関連文書を整理し、決定事項と未決事項を分けます。その後に章立てと文案を作り、実務、法務、労務、情報管理、経営の視点で確認します。
ChatGPTの出力は、専門家と関係者が検討するためのたたき台です。必要な労使手続、届出、周知、承認を確認し、申請導線、教育、事故対応、版管理まで整えてから施行してください。
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参考情報
著者情報
小谷川拳次(こたにがわ けんじ)
リードコンサルティング株式会社代表取締役。生成AIマーケティング専門家、生成AIマスタースクール(GMS)学長。2009年の会社設立以来、デジタルコンテンツ販売、電子書籍マーケティング、サブスクリプションビジネス、オンライン講座・ウェビナーの販売導線構築に携わり、著書は累計50冊以上。
現在はChatGPTを中心とした生成AI活用の専門家として、ブログ記事、メール講座、教材・講座の制作を通じ、個人事業主・中小企業が知識や経験を仕事・発信・商品づくり・収益化へつなげる実践法を研究・発信している。
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