ChatGPTで顧客ヒアリング質問を作る|本音と課題を引き出す設計
顧客ヒアリングで質問を用意していても、会話が質問票の読み上げになったり、相手の答えを十分に聞く前に自社の提案へ進んだりすることがあります。質問の数を増やすだけでは、本音や課題が明確になるとは限りません。必要なのは、確認したい論点を順序立て、回答に応じて深掘りし、最後に認識を確かめる設計です。
結論から申し上げると、ChatGPTで顧客ヒアリングを準備する時は、目的、対象者、確認済みの事実、知りたいこと、聞かないことを先に渡します。ChatGPTには質問案、質問順、深掘り分岐、要約項目を作らせ、顧客の本音、課題、原因、予算、決裁権、購入意思を推測させないことが基本です。
「ChatGPT 顧客ヒアリング 質問」と検索した方に向けて、この記事では、準備する12項目、質問設計7段階、作成7手順、コピペできる3つのプロンプト、法人向けサービスの完成例、予算や決定条件の聞き方、記録方法まで解説します。営業トーク全体ではなく、相手の現状、困りごと、理想、優先順位を理解する対話質問に限定した実践記事です。
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目次
- 1 最初に結論|質問は本音を当てる道具ではなく確かめる道具
- 2 顧客ヒアリングと営業トークの違い
- 3 作成前に準備する12項目
- 4 質問設計の基本は7段階
- 5 本音と課題を引き出しやすい質問への直し方
- 6 ChatGPTで質問を作る7手順
- 7 基本質問を作るプロンプト
- 8 完成例|法人向け業務支援サービスの質問設計
- 9 曖昧な回答を具体化する深掘り
- 10 深掘り分岐を作るプロンプト
- 11 予算・決定条件は課題と価値を確認してから聞く
- 12 場面別に質問の目的を変える
- 13 記録は事実・顧客の評価・自社仮説を分ける
- 14 ヒアリング記録を点検するプロンプト
- 15 顧客情報・録音・文字起こしの注意点
- 16 チームで質問品質を揃える運用
- 17 よくある失敗8点と改善策
- 18 実施前の確認14項目
- 19 よくある質問
- 20 筆者の実務視点|良い質問より正しく聞き直せる設計が残る
- 21 まとめ|事実から聞き、深掘りし、要約して確かめる
- 22 参考情報
- 23 著者
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最初に結論|質問は本音を当てる道具ではなく確かめる道具
ChatGPTは、ヒアリングの論点を整理し、開かれた質問や深掘り質問の候補を短時間で作れます。ただし、回答前の顧客について「きっと価格が不満」「決裁権がない」などと断定することはできません。本音は質問だけで自動的に現れるものではなく、話しやすい順序、相手の言葉を待つ姿勢、要約確認によって少しずつ明確になります。
| 工程 | ChatGPTに任せること | 人が判断すること |
|---|---|---|
| 事前準備 | 情報を論点別に分類する | 目的、対象者、利用可否を確定する |
| 質問作成 | 質問案、順序、言い換えを作る | 関係性や場面に合う表現を選ぶ |
| 深掘り | 回答別の追加質問を提案する | 相手の回答を聞き、次の質問を選ぶ |
| 要約 | 事実、課題仮説、未確認点を分ける | 顧客に認識が合っているか確かめる |
| 提案判断 | 課題と提供価値の対応候補を整理する | 提案するか、持ち帰るか、終了するか決める |
質問票を完成させることが目的ではありません。会話の結果として、確認できた事実、顧客の言葉、未確認事項、次に確かめることが分かれる状態を目指します。
顧客ヒアリングと営業トークの違い
顧客ヒアリングは、提案を受け入れてもらうための誘導ではありません。顧客の現状と判断条件を理解し、自社が支援できる範囲を見極める工程です。No.208の営業トークが商談全体の会話台本を扱うのに対し、この記事は、その中でも「何をどの順番で聞くか」「曖昧な回答をどう具体化するか」に焦点を絞ります。
相手の答えが自社の想定と違った時は、質問を曲げて想定へ戻すのではなく、仮説を修正します。ヒアリングの品質は、予定した質問をすべて消化したかではなく、相手の言葉を正しく理解し、認識のずれを減らせたかで評価します。
作成前に準備する12項目
質問を作る前に材料を揃えると、一般論ではなく相手と目的に合う質問になります。不明な情報は推測で埋めず、「当日確認」として残してください。
| 項目 | 準備する内容 | 不明な場合 |
|---|---|---|
| 1.目的 | 課題把握、提案準備、商品改善など | 今回の到達点を一つに絞る |
| 2.対象者 | 役職、担当業務、利用者との関係 | 冒頭で役割を確認する |
| 3.面談経緯 | 問い合わせ、紹介、既存顧客など | 接点を確認する質問を置く |
| 4.確認済み事実 | 公開情報、問い合わせ内容、過去記録 | 事実と仮説を分ける |
| 5.現状仮説 | 利用中の方法、工程、関係者 | 断定せず確認質問に変える |
| 6.知りたい論点 | 現状、問題、影響、理想、条件 | 優先順位を付ける |
| 7.自社の提供範囲 | 対応できること、できないこと | 商品資料の正本を確認する |
| 8.面談時間 | 全体時間と質問に使える時間 | 必須質問を5問程度に絞る |
| 9.参加者 | 顧客側、自社側、進行と記録担当 | 開始時に役割を確かめる |
| 10.記録方法 | メモ、録音、文字起こしの可否 | 許可がなければ録音しない |
| 11.機密範囲 | 入力禁止情報、保存先、共有範囲 | 匿名化した情報だけを使う |
| 12.終了条件 | 次回提案、追加確認、今回は終了 | 面談末に合意できる形へする |
情報が少ない初回面談では、精巧な課題仮説より、相手の役割と現状を確認する質問を優先します。既存顧客へのヒアリングでは、過去の利用実績と要望を照合し、既に聞いたことを繰り返さない配慮が必要です。
質問設計の基本は7段階
会話は答えやすい事実から始め、問題、影響、理想へ進めます。最初から予算や決裁権だけを聞くと、売り込みのための審査と受け取られやすくなります。
| 段階 | 目的 | 質問例 |
|---|---|---|
| 1.目的共有 | 面談の意図と範囲を合わせる | 本日は現状と改善したい点を伺い、次の検討材料を整理してもよろしいですか |
| 2.役割確認 | 相手の立場と関与範囲を知る | この業務には、普段どのような立場で関わっていますか |
| 3.現状確認 | 工程、頻度、担当、手段を把握する | 現在は、依頼を受けてから完了までどのように進めていますか |
| 4.困りごと | 問題が起きる具体的な場面を知る | 特に手間や確認が増えるのは、どの場面でしょうか |
| 5.影響確認 | 問題の大きさと優先度を知る | その状態が続くと、誰のどの業務に影響がありますか |
| 6.理想と条件 | 望む状態と現実的な制約を知る | まず一つ改善するとしたら、何が変わると助かりますか |
| 7.要約確認 | 認識のずれと未確認点をなくす | 優先課題はAで、Bは次の段階という理解で合っていますか |
この順序は固定ではありません。相手が話したいテーマを優先し、既に十分な回答が得られた項目は重ねて聞かないことが、自然な対話につながります。
本音と課題を引き出しやすい質問への直し方
答えを誘導する質問、抽象的すぎる質問、一度に複数を聞く質問は、聞き手が欲しい答えを集めやすくなります。質問文を短くし、相手が具体的な場面を思い出せる形へ直します。
| 避けたい質問 | 問題 | 直した質問 |
|---|---|---|
| この作業は非効率ですよね | 同意を誘導する | この作業で時間がかかるのはどの部分ですか |
| 何か課題はありますか | 範囲が広すぎる | 直近で予定どおり進まなかった例を教えていただけますか |
| 価格と機能とサポートはどうですか | 三つを同時に聞く | まず機能面で不足を感じる場面はありますか |
| 導入したいですか | 検討前に結論を迫る | 検討を進めるために、何が確認できる必要がありますか |
| なぜできなかったのですか | 責任追及に聞こえる | 進めにくくなった条件や出来事は何でしたか |
| 予算はいくらですか | 文脈なく金額だけを求める | 費用を判断する際、どの範囲と効果を基準にしますか |
「なぜ」は原因を聞けますが、場面によっては詰問に聞こえます。「どのような経緯でしたか」「何が影響しましたか」と言い換えると、相手が説明しやすくなります。
ChatGPTで質問を作る7手順
- ヒアリングの目的を一つ決める:提案準備と商品改善を同時に詰め込まず、今回の判断目的を明確にします。
- 確認済み事実と仮説を分ける:問い合わせ文や過去記録を事実として整理し、推測は仮説欄へ移します。
- 知りたい論点を優先する:現状、問題、影響、理想、条件のうち、面談時間内に必要な論点を選びます。
- 基本質問を作らせる:一問一論点、開かれた質問を中心に、答えやすい順で出力させます。
- 回答別の深掘りを作る:曖昧、具体的、否定、分からないという回答ごとに次の質問を用意します。
- 誘導と重複を点検する:欲しい答えを前提にしていないか、同じ情報を言い換えて聞いていないか確認します。
- 必須質問と予備質問に分ける:必須5〜8問を先に置き、時間があれば使う質問を別欄にします。
ChatGPTで顧客ヒアリングの質問を作った後は、必ず声に出して読みます。文章では丁寧でも、口頭では長く聞こえる場合があります。専門用語、前置き、二重質問を削り、一度で理解できる長さに整えてください。
基本質問を作るプロンプト
あなたは法人顧客へのヒアリング設計を支援する編集者です。
次の情報だけを使い、顧客の現状、困りごと、影響、理想、優先順位を理解する質問を作ってください。
【ヒアリング目的】
[例:業務改善サービスの提案前に、対象業務と判断条件を確認する]
【対象者と役割】
[役職、担当業務、利用者との関係]
【確認済み事実】
[問い合わせ内容、公開情報、過去の接点]
【仮説】
[確認が必要な仮説。事実とは分ける]
【面談時間】
[30分]
【聞いてはいけないこと・入力禁止情報】
[個人情報、契約外情報、他社の機密等]
次の順で出力してください。
1.目的共有の一言
2.必須質問8問
3.各質問の目的
4.想定される回答別の深掘り質問
5.最後の要約確認
6.面談時に確認が必要な未確定事項
制約:
・一問につき一つの論点にする
・答えを誘導しない開かれた質問を中心にする
・確認済み情報を再度聞かない
・顧客の課題、原因、予算、決裁権、購入意思を推測しない
・仮説は断定せず、確認質問へ変換する
・不足情報は作らず「要確認」と表示する
・質問は口頭で一度に理解できる長さにする
出力後に質問数だけを増やすのではなく、「この質問の回答によって何を判断するか」を確認します。判断に使わない質問は削り、顧客にとって説明する意味がある質問だけを残します。
完成例|法人向け業務支援サービスの質問設計
ここでは、申請書類の作成と承認に時間がかかる企業へ、業務支援サービスを提案する前の架空例を示します。確認済み事実は「問い合わせに承認状況を把握しづらいと記載されている」だけとします。
| 順番 | 質問 | 確認すること |
|---|---|---|
| 1 | 今回、特に整理したい業務や判断事項はどこでしょうか | 相手が考える面談目的 |
| 2 | 申請書類は、作成から承認まで現在どのように進んでいますか | 現行工程、担当、手段 |
| 3 | 承認状況を確認しづらいのは、どの場面で起きますか | 具体的な場面と頻度 |
| 4 | その時、どなたがどのような確認作業をしていますか | 関係者と追加作業 |
| 5 | 確認に時間がかかることで、後の業務にどのような影響がありますか | 業務、顧客、期限への影響 |
| 6 | これまでに改善を試したことはありますか | 既存施策と結果 |
| 7 | まず一つ変えるなら、どの状態になると効果を感じられますか | 理想、優先順位、評価方法 |
| 8 | 検討を進める際、利用者、管理者、承認者はそれぞれ何を確認しますか | 関係者別の判断条件 |
| 9 | 本日の内容を、最新版の特定と承認状況の把握が優先という理解で整理してよいですか | 要約の修正と同意 |
この例では、問い合わせ文の「承認状況を把握しづらい」を事実として扱いますが、その原因をツール不足とは決めていません。工程、関係者、既存施策を聞いた結果、運用ルールや権限設計が主因だと分かれば、提案内容も変わります。
曖昧な回答を具体化する深掘り
「大変です」「もっと効率化したいです」という回答を、すぐに課題として記録してはいけません。何が、いつ、誰に、どの程度起きるのかを一つずつ確かめます。
| 回答の状態 | 深掘りの目的 | 質問例 |
|---|---|---|
| 抽象的 | 場面を特定する | 直近で大変だった具体的な例を教えていただけますか |
| 範囲が広い | 優先順位を付ける | その中で、最初に変えたいのはどの部分ですか |
| 原因が断定的 | 根拠と別要因を確認する | その原因だと判断された出来事や数字はありますか |
| 数値がない | 頻度や規模を確かめる | 毎回起きるのか、特定の案件で起きるのか、どちらに近いですか |
| 理想が曖昧 | 完了状態を描く | 改善したと判断できる場面や指標は何でしょうか |
| 分からない | 回答できる人や資料を探す | どなた、またはどの資料を確認すると分かりそうですか |
| 話したくない | 境界を尊重する | 承知しました。差し支えない範囲で確認できる別の論点はありますか |
沈黙をすぐ埋めないことも大切です。相手が考えている時に質問を重ねると、十分に整理される前の短い答えで会話が終わります。数秒待ち、相手が話し終えた後に要約してから次へ進みます。
深掘り分岐を作るプロンプト
次の顧客ヒアリング質問について、回答別の深掘り分岐を作成してください。
【質問】
[作成済みの必須質問]
【確認目的】
[この回答によって判断したいこと]
【確認済み事実】
[顧客が述べた内容、資料にある内容]
【避けること】
[誘導、責任追及、機密情報、未承認の価格提示等]
次の表で出力してください。
回答の状態|最初の受け止め|深掘り質問|確認できる事実|まだ推測できないこと|質問を止める条件
回答の状態には、抽象的、具体的、否定的、分からない、話したくないを含めてください。
制約:
・一つの回答から原因を決めつけない
・相手の言葉を否定せず、短く受け止めてから質問する
・同じ内容を繰り返し聞かない
・「話したくない」という意思を尊重する
・資料にない数値、予算、権限、意向を作らない
・質問を続けない方がよい条件を明示する
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予算・決定条件は課題と価値を確認してから聞く
予算や決裁者は提案設計に必要ですが、面談の冒頭で金額と権限だけを聞くと、相手を選別している印象を与えます。何を改善し、誰が使い、何を基準に判断するかを確認した後、必要な範囲で聞きます。
| 確認事項 | 聞き方 | 避ける聞き方 |
|---|---|---|
| 予算の考え方 | 費用を判断する際、対象範囲と期待効果をどのように比較しますか | 予算はいくらありますか |
| 対象範囲 | まず試す場合、どの部署や業務が候補になりますか | 全社導入できますか |
| 関係者 | 検討には、利用者以外にどの立場の方が関わりますか | 決裁者は誰ですか |
| 判断基準 | 社内で進めるために、どの情報が必要ですか | 何なら買いますか |
| 時期 | 業務上、検討しやすい時期や避けたい時期はありますか | いつ契約できますか |
| 次の行動 | 次回までに双方で何を確認すると判断しやすいでしょうか | 次は契約でよいですか |
相手が答えられない場合、権限がないと決めつけず、確認できる人や資料を聞きます。予算が未定なら、提案範囲別の見積案を作るなど、判断材料を整える次の行動へ変えます。
場面別に質問の目的を変える
| 場面 | 中心となる質問 | 避けること |
|---|---|---|
| 新規商談 | 現状、問題が起きる場面、影響、理想 | 提案ありきで課題を決める |
| 既存顧客 | 利用状況、満足、不具合、変化、要望 | 追加販売を前提にする |
| 商品開発 | 利用場面、代替手段、不満、選択基準 | 新機能の賛否だけを聞く |
| 失注・見送り | 判断理由、比較基準、再連絡の可否 | 判断を覆すために追及する |
| 導入後確認 | 期待との差、利用障害、成果、改善点 | 成功した前提で聞く |
同じ顧客でも、商談段階によって聞くべき内容は変わります。質問テンプレートを共通化する場合も、目的、必須項目、禁止事項を場面別に分けてください。
記録は事実・顧客の評価・自社仮説を分ける
ヒアリング後のメモで最も起きやすい問題は、顧客が話した事実と、聞き手の解釈が混ざることです。「承認に2日かかる」は発言または記録で確認できますが、「管理ツールがないことが原因」は仮説かもしれません。
| 記録区分 | 残す内容 | 例 |
|---|---|---|
| 確認済み事実 | 工程、人数、頻度、数値、利用手段 | 申請は週20件、承認者は3名 |
| 顧客の評価 | 困りごと、理想、優先順位、懸念 | 最新版の特定を最優先したい |
| 自社の仮説 | 原因候補、提案余地、リスク | 版管理ルールが影響している可能性 |
| 未確認事項 | 追加で聞く人、資料、数値 | 承認遅延の月別件数 |
| 合意事項 | 認識、宿題、担当、期限 | 顧客が件数を確認し、自社が見積範囲を作る |
ChatGPTで顧客ヒアリングのメモを整理する場合は、元の発言を残した上で分類させます。要約だけを保存すると、後から表現の強さや条件を確認できません。
ヒアリング記録を点検するプロンプト
次のヒアリングメモを、事実と解釈を混ぜずに整理してください。
【ヒアリング目的】
[目的]
【メモ】
[匿名化した発言、数値、質問と回答]
次の順で出力してください。
1.確認済み事実
2.顧客本人が述べた評価・希望・懸念
3.自社側の仮説
4.事実と仮説が混ざっている記述
5.未確認事項
6.次回の確認質問
7.合意した次の行動(担当・内容・期限)
制約:
・メモにない数値、原因、感情、優先順位、予算、権限を補わない
・意味が曖昧な箇所は「要確認」とする
・顧客の発言と自社の解釈を別欄にする
・要約によって条件や例外を削らない
・断定表現が元の発言より強くなっていないか点検する
・個人名や機密情報が含まれていたら、再利用前に匿名化が必要と示す
顧客情報・録音・文字起こしの注意点
実在顧客の氏名、連絡先、発言、契約情報、未公開の事業計画を入力する前に、会社の利用規程、利用中の契約環境、管理者設定、保存先、共有範囲を確認します。顧客名をA社、担当者を担当者Aのように置き換えても、案件内容や組み合わせから本人・企業を特定できる場合があります。
個人情報保護委員会は、事業者が生成AIへ個人情報を含むプロンプトを入力する場合、利用目的に必要な範囲か、サービス提供者が入力データをどのように扱うかを十分に確認するよう注意喚起しています。録音や文字起こしは、相手の許可、利用目的、保存期間、閲覧者を事前に明確にしてください。
- 顧客名、担当者名、メールアドレス、電話番号を必要なく入力しない
- 価格、契約条件、技術情報、未公開計画を正本のまま貼り付けない
- 録音は開始前に目的と利用範囲を説明し、許可を得る
- 文字起こしの誤認識を原音または本人確認で修正する
- 出力を共有する前に個人情報、機密情報、推測を再点検する
チームで質問品質を揃える運用
質問集を共有するだけでは、担当者ごとに聞き方と記録の粒度が変わります。目的、必須質問、質問の意図、深掘り条件、止める条件、記録欄を一つのテンプレートにします。
- 面談前に目的と必須質問を責任者が確認する
- 進行担当と記録担当を分ける
- 質問を読み上げるのではなく、回答に応じて順序を変える
- 面談後に事実、仮説、未確認事項を相互点検する
- 質問別ではなく、判断に必要な情報が揃ったかで改善する
初回は10件程度の面談で試し、答えにくかった質問、重複した質問、判断に使わなかった質問を記録します。ChatGPTへの指示も、その記録に基づいて更新すると再現性が高まります。
よくある失敗8点と改善策
| 失敗 | 起きる問題 | 改善策 |
|---|---|---|
| 質問数を増やしすぎる | 回答を聞く時間がなくなる | 必須5〜8問と予備に分ける |
| 最初から課題を決める | 都合のよい回答だけを拾う | 仮説を確認質問へ変える |
| 一度に複数を聞く | どの問いへの回答か不明になる | 一問一論点に分ける |
| 抽象語のまま記録する | 提案範囲を決められない | 場面、頻度、影響を確かめる |
| 沈黙をすぐ埋める | 相手が考える時間を失う | 待ってから短く要約する |
| 予算だけを先に聞く | 売り込みの審査に見える | 課題、価値、範囲の後で聞く |
| AI要約を事実扱いする | 解釈が顧客発言へ変わる | 元メモと照合し区分する |
| 機密情報をそのまま使う | 社内規程や契約に抵触し得る | 利用可否を確認し必要最小限にする |
実施前の確認14項目
- ヒアリング目的が一文で説明できる
- 対象者の役割と回答できる範囲を確認する
- 確認済み事実と仮説を分けている
- 必須質問を5〜8問程度に絞っている
- 一問一論点になっている
- 誘導質問、責任追及、決めつけを避けている
- 答えやすい事実から、影響、理想へ進む順序である
- 曖昧な回答への深掘りを用意している
- 話したくない場合に質問を止める
- 予算、関係者、時期を聞く理由が明確である
- 録音・文字起こしの許可と保存先を確認する
- 個人情報・機密情報の入力範囲を確認する
- 最後に要約し、顧客が修正できる時間を取る
- 次の行動を担当、内容、期限で合意する
よくある質問
Q1.ChatGPTに顧客の本音を分析させられますか?
発言の論点や感情表現を整理することはできますが、本音を事実として確定することはできません。「この発言には複数の解釈がある」と候補を出させ、追加質問で本人に確かめてください。
Q2.質問は何問くらい用意すればよいですか?
30分の面談なら、必須5〜8問を基準にし、回答が短い場合の予備質問を別に用意します。質問数より、回答を聞き、要約確認する時間を確保する方が大切です。
Q3.営業色を出さずに予算を聞くにはどうすればよいですか?
課題、対象範囲、期待する変化を確認した後、「費用を判断する際、何を基準にしますか」と聞きます。金額を答えにくい場合は、段階案を作るために必要な条件だけを確認します。
Q4.相手の回答が「特に困っていない」の場合はどうしますか?
無理に課題を作らず、現行方法でうまくいっている理由や、将来変化が起きた場合の条件を確認します。支援不要と分かることも、適切なヒアリング結果です。
Q5.ChatGPTで顧客ヒアリングの質問を毎回作り直す必要がありますか?
基本構成はテンプレート化できますが、目的、対象者、接点、確認済み事実は案件ごとに更新します。共通質問だけで進めると、既に分かっていることを聞く重複が起きます。
Q6.オンライン面談を録音してChatGPTへ入れてもよいですか?
自動的によいとは判断できません。相手の許可、会社の利用規程、契約環境、個人情報・機密情報の扱い、保存先、共有範囲を確認し、必要最小限の情報で利用してください。
Q7.AIが作った質問をそのまま読み上げてもよいですか?
そのままでは長い、硬い、重複している場合があります。口頭で読み、相手との関係や面談時間に合わせて短くし、回答に応じて順序を変えてください。
Q8.ヒアリング後、すぐ提案書を作ってよいですか?
事実、顧客の評価、自社仮説、未確認事項を分け、重要な認識を顧客に確認してから作ります。未確認の原因や効果を前提にすると、提案が顧客の課題から外れます。
筆者の実務視点|良い質問より正しく聞き直せる設計が残る
私は、ヒアリングの成果を「鋭い一問が出たか」ではなく、顧客の発言を事実、評価、仮説へ分け、次の判断に使える状態へ整理できたかで見ます。質問集だけを作っても、相手の回答が想定外だった時に止まれば、実務では使えません。
生成AIの価値は、もっともらしい顧客像を作ることではなく、聞き漏れ、誘導、曖昧さを事前に点検できることです。仮説は持ちながらも、相手の回答で修正できる余白を残すことが、顧客理解と提案品質の両方を高めます。
まとめ|事実から聞き、深掘りし、要約して確かめる
ChatGPTで顧客ヒアリングを設計する時は、目的、対象者、確認済み事実、仮説、知りたい論点、面談時間、入力禁止情報を先に整理します。質問は、目的共有、役割、現状、困りごと、影響、理想と条件、要約確認の7段階で組むと、提案ありきの誘導を避けやすくなります。
ChatGPTは質問案、深掘り分岐、誘導表現の点検、記録の分類へ使い、顧客の本音、原因、予算、権限、購入意思は本人への確認で確定します。質問票を消化するより、相手の回答を待ち、認識を修正できるヒアリングへ仕上げてください。
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参考情報
- OpenAI「ChatGPT Enterprise Prompting Guide」
- J-Net21「知って得する商談会活用」
- J-Net21「一過性の支援ではなく、次の100年もあり続ける企業の支援に向けて」
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
著者
小谷川拳次(こたにがわ けんじ)
リードコンサルティング株式会社代表取締役。生成AIマーケティング専門家、生成AIマスタースクール(GMS)学長。2009年の会社設立以来、デジタルコンテンツ販売、電子書籍マーケティング、サブスクリプションビジネス、オンライン講座・ウェビナーの販売導線構築に携わり、著書は累計50冊以上。
現在はChatGPTを中心とした生成AI活用の専門家として、ブログ記事、メール講座、教材・講座の制作を通じ、個人事業主・中小企業が知識や経験を仕事・発信・商品づくり・収益化へつなげる実践法を研究・発信している。
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